脳卒中患者の障害受容とそれに関与する要因について

日頃, 臨床の場面において, 患者が訓練に戸惑いや疑問を感じ, また, 訓練を拒否することを経験する時, 患者の内に生じている矛盾や葛藤を痛感し, 患者理解の難しさとその重要性を教えられる. これまでの研究に於いては, 身体障害者の障害受容や心的傾向を判断する方法としてCMIやMASが用いられている. しかし, これらの検査は質問項目が非常に多く患者に対する負担も大きいため, 日日の臨床のなかでは活用されていないのが現状である. 我々は, 身体障害者の障害受容の良否を簡津な一定の基準のもとに判断していく必要性を強く感じ, かつ, それに関与する要因を知ることは患者理解を深め, 訓練計画を立案す...

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Published in理学療法学 Vol. 15; no. suppl; p. 96
Main Authors 中村哲也, 白石早苗, 笹本由美子, 香川幸次郎, 小野洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1988
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ISSN0289-3770

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Summary:日頃, 臨床の場面において, 患者が訓練に戸惑いや疑問を感じ, また, 訓練を拒否することを経験する時, 患者の内に生じている矛盾や葛藤を痛感し, 患者理解の難しさとその重要性を教えられる. これまでの研究に於いては, 身体障害者の障害受容や心的傾向を判断する方法としてCMIやMASが用いられている. しかし, これらの検査は質問項目が非常に多く患者に対する負担も大きいため, 日日の臨床のなかでは活用されていないのが現状である. 我々は, 身体障害者の障害受容の良否を簡津な一定の基準のもとに判断していく必要性を強く感じ, かつ, それに関与する要因を知ることは患者理解を深め, 訓練計画を立案するうえでも重要であると考えている. 中司によれば, 障害受容のなされていない状態とは, 劣等感・不安定感といった心的緊張が大であって, 逃避・ぐち・いいわけ・依存・退行等の不適切な緊張解消行動がとられている時を言うと延べている. そして, その考え方に基づき臨床において簡便に使用出来る「障害受容度診断検査」を提示している. そこで, 我々は, この「障害受容度診断検査」を用いて青森県内のりハビリテーション専門病院に入院中の脳卒中患者を対象に脳卒中患者の障害受容状況について検査したので報告するとともに障害受容に関与する要因についても検討したので報告する.
ISSN:0289-3770