膝伸展機構に関する力学的, 筋電図学的研究

「目的」 前回我々は大腿四頭筋のうち, 内外側広筋は膝屈曲時においても, 直筋に比してより負荷に対する支持筋としての役割をもつことを報告した. 今回は, さらに膝屈曲角度が90°以上に増す時, 負荷に対する両筋の筋電図の相違を, 股関節の肢位との関連から比較し検索する. 「方法」 大腿四頭筋の遠心性収縮運動を用いた抵抗運動にて測定する. 抵抗運動は, Brewertonの膝伸展トルク器にプーリと滑車を介して負荷を加え, これに抗しながら下腿を約30秒かけてゆっくりと膝60°から120°屈曲位まで屈曲する. この際, いずれの角度でも負荷に対し幾分弱い膝伸展力のままで屈曲する. 負荷は3kg,...

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Published in理学療法学 Vol. 12; no. suppl; p. 160
Main Authors 岡西哲夫, 山本留七, 三沢みち子, 近藤潤子, 金田嘉清, 小島泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 1985
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Summary:「目的」 前回我々は大腿四頭筋のうち, 内外側広筋は膝屈曲時においても, 直筋に比してより負荷に対する支持筋としての役割をもつことを報告した. 今回は, さらに膝屈曲角度が90°以上に増す時, 負荷に対する両筋の筋電図の相違を, 股関節の肢位との関連から比較し検索する. 「方法」 大腿四頭筋の遠心性収縮運動を用いた抵抗運動にて測定する. 抵抗運動は, Brewertonの膝伸展トルク器にプーリと滑車を介して負荷を加え, これに抗しながら下腿を約30秒かけてゆっくりと膝60°から120°屈曲位まで屈曲する. この際, いずれの角度でも負荷に対し幾分弱い膝伸展力のままで屈曲する. 負荷は3kg, 5kg, 10kgとした. 直筋と内外側広筋筋電図は, 積分用プリアンプを用いて基準線より下の波形を整流してとり出し, さらにこの波形を包むような, いわゆる包絡線の波形を得て解析し易くする. 膝伸展力は膝伸展トルク器とプーリの途中にひずみ計を介在させ負荷に対する膝伸展力として検出する. 股関節肢位は, (1)股関節90°屈曲位, 即ち坐位, (2)0°伸展位, 即ち仰臥位, (3)過度の屈曲位, 即ち躯幹前屈姿勢での坐位とする. 対象は正常者15名, 平均年齢25歳とする.
ISSN:0289-3770