27 障害児における唾液緩衝能および口腔粘膜水分量について

「緒言」精神発達遅滞等の障害を有する小児の口腔衛生管理を行うにあたり, 齲蝕等に罹患するリスクを把握しておくことは, 優位に管理が行えることになる. 今回, われわれは, 障害児の唾液緩衝能および口腔粘膜水分量を測定し, 若干の知見を得たので報告した. 対象および方法:対象は, 某知的障害児通園施設に通園している障害児34名(男児19名, 女児15名, 平均年齢4.0歳)であり, 対照の健常児として, 某幼稚園に通園している幼児25名(男児12名, 女児13名, 平均年齢4.5歳)である. 知的障害児通園施設の入園条件は, 遠城寺式・乳幼児分析的発達検査での発達指数が80未満のものである. 方...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in小児口腔外科 Vol. 19; no. 1; pp. 61 - 62
Main Authors 大槻榮人, 川上哲司, 川上正良, 雲丹亀真貴子, 藤田宏人, 井上智裕, 大河内則昌, 桐田忠昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 2009
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「緒言」精神発達遅滞等の障害を有する小児の口腔衛生管理を行うにあたり, 齲蝕等に罹患するリスクを把握しておくことは, 優位に管理が行えることになる. 今回, われわれは, 障害児の唾液緩衝能および口腔粘膜水分量を測定し, 若干の知見を得たので報告した. 対象および方法:対象は, 某知的障害児通園施設に通園している障害児34名(男児19名, 女児15名, 平均年齢4.0歳)であり, 対照の健常児として, 某幼稚園に通園している幼児25名(男児12名, 女児13名, 平均年齢4.5歳)である. 知的障害児通園施設の入園条件は, 遠城寺式・乳幼児分析的発達検査での発達指数が80未満のものである. 方法は, 齲蝕活動性試験として, 酸産生能を調べるCAT21テストおよび唾液緩衝能を調べるCAT21Bufを行った. また, 口腔水分計モイスチャーチェッカー・ムーカスを用いて, 舌背部および頬粘膜部の口腔粘膜水分量を測定した. 結果:CAT21テストでは, 健常児で注意域のものが多く54.2%, 障害児で安全域のものが多く64.7%であった. 一方, CAT21Bufでは, 健常児で中緩衝能の中リスクのものが多く78.3%, 障害児で中リスクのもの58.3%, 低緩衝能の高リスクのもの41.7%であった. また, 両者を組み合わせると, CAT21テストで低リスクの場合, 健常児ではCAT21Bufで中リスクのものが多く, 高リスクのものは認めなかったのに対し, 障害児では高リスクのものを認めた. 口腔粘膜水分量の測定結果では, 障害児健常児より重度の乾燥のものが多く, 有意差を認め, 口腔粘膜水分量が少ないことが示された. 考察:これらの結果より, 障害児の口腔衛生管理を行っていくにあたり, 齲蝕活動性試験および口腔水分量測定を行うことは, 口腔衛生に対する本人および家族の認識が高まり, 口腔内の適切な管理のために有用であることが示唆された.
ISSN:0917-5261