二段階法による硬口蓋閉鎖時における顎裂部骨移植の試み
われわれは, 顎発育を考慮して口唇口蓋裂の一次症例に2段階法による口蓋形成手術を施行しており, その顎発育への有用性について報告してきた. 今回は, 6歳時に2段階法の硬口蓋閉鎖と同時に顎裂部骨移植術を試みた2症例を経験したので報告する. 対象症例: 症例1 両側唇顎口蓋裂 女児 現在8歳1か月 手術時期:1段階軟口蓋閉鎖 1歳6か月 2段階硬口蓋閉鎖 6歳 移植材料:同種骨(脱灰凍結乾燥骨) 現在術後2年1か月経過 症例2 左唇顎口蓋裂 女児 現在8歳5か月 手術時期:1段階軟口蓋閉鎖 1歳9か月 2段階硬口蓋閉鎖6歳1か月 移植材料:燐酸三カルシウム(TCP) 現在術後2年4か月 経過結果...
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Published in | 小児口腔外科 Vol. 10; no. 1; p. 64 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児口腔外科学会
2000
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ISSN | 0917-5261 |
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Summary: | われわれは, 顎発育を考慮して口唇口蓋裂の一次症例に2段階法による口蓋形成手術を施行しており, その顎発育への有用性について報告してきた. 今回は, 6歳時に2段階法の硬口蓋閉鎖と同時に顎裂部骨移植術を試みた2症例を経験したので報告する. 対象症例: 症例1 両側唇顎口蓋裂 女児 現在8歳1か月 手術時期:1段階軟口蓋閉鎖 1歳6か月 2段階硬口蓋閉鎖 6歳 移植材料:同種骨(脱灰凍結乾燥骨) 現在術後2年1か月経過 症例2 左唇顎口蓋裂 女児 現在8歳5か月 手術時期:1段階軟口蓋閉鎖 1歳9か月 2段階硬口蓋閉鎖6歳1か月 移植材料:燐酸三カルシウム(TCP) 現在術後2年4か月 経過結果:症例1では咬合法X線写真所見において術後6か月時に骨架橋が形成されていた. 1年経過時の3DCT所見でも術前に存在した骨欠損部は骨によって満たされていた. 症例2では術後1か月時に顆粒状の像が観察されたが, 5か月時には均一な骨様の所見が見られた. 1年経過時の3DCTによっても骨架橋が確認された. このように二段階法において硬口蓋閉鎖時に自家骨によらない移植材を用いた顎裂部骨移植術を行なったところ容易に骨架橋が得られることが明らかとなった. この結果から口蓋裂の治療法として, 本法は他部位に侵襲を加えることなく, 少ない手術回数で顎裂部骨架橋が得られるという点で有用な方法と考えられた. |
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ISSN: | 0917-5261 |