下肢の運動戦略とFunctional Reach Test

本稿の目的はFunctional Reach Test(FRT)遂行における運動戦略(ストラテジ)の相違がFunctional Reach距離(FR距離)及び重心移動の要因にどのように影響するか確認することである. 対象は健常者19名(平均年齢21.6±4.3歳)とした. FRTは股・足・踵上げストラテジ(股・足・踵上げIRT)の3条件で遂行させ, FR距離とともに重心の前後移動(前後移動), 重心動揺外周面積(動揺面積)を測定した. その結果, FR距離は踵上げFRT, 股FRT, 足FRTの順にそれぞれ有意(p≦0.05)に大きく, 前後移動, 動揺面積はともに踵上げFRTが股FRT, 足...

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Published in理学療法科学 Vol. 16; no. 4; pp. 159 - 165
Main Authors 対馬栄輝, 對馬均, 石田水里, 長谷川至, 大熊克信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 理学療法科学学会 2001
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ISSN1341-1667

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Summary:本稿の目的はFunctional Reach Test(FRT)遂行における運動戦略(ストラテジ)の相違がFunctional Reach距離(FR距離)及び重心移動の要因にどのように影響するか確認することである. 対象は健常者19名(平均年齢21.6±4.3歳)とした. FRTは股・足・踵上げストラテジ(股・足・踵上げIRT)の3条件で遂行させ, FR距離とともに重心の前後移動(前後移動), 重心動揺外周面積(動揺面積)を測定した. その結果, FR距離は踵上げFRT, 股FRT, 足FRTの順にそれぞれ有意(p≦0.05)に大きく, 前後移動, 動揺面積はともに踵上げFRTが股FRT, 足FRTより有意に(p≦0.01)大きかった. FR距離, 前後移動, 動揺面積の間の相関は有意でなかった. 主成分分析の結果では主に前後移動を反映する成分(寄与率30.7%)と, FR距離と前後移動を分ける成分(寄与率25.4%)が挙げられた. 踵上げFRTは前後移動や重心動揺も大きく, より高度な姿勢制御能力が要される特徴があった. また, 同一のストラテジでFRTが行われる場合はFR距離と重心移動に有意な相関はあるといえないことがわかった.
ISSN:1341-1667