11. 右上肢外傷性RSDから発症したと考えられる四肢難治性疼痛症例

症例:44歳, 女性. 右栂指MPI関節の捻挫を契機に右上肢RSDとなる. 治療開始後, 数年前発症した頸椎症より左上肢痛, 20年来の坐骨神経痛より右下肢痛, 左下肢にも灼熱痛, アロディニアが波及. 四肢全体・臀部背部の難治性疼痛となった. 治療とその効果:星状神経節ブロック・頸部硬膜外ブロックは上肢痛軽減に効果あり. 腰部硬膜外ブロックを下肢痛への効果を期待して施行していたが, ブロック時の灼熱痛・アロディニアが徐々に強くなる. くも膜下ブロックは完全知覚消失中でも灼熱痛ありを確認したのみ. 全脊麻を腰部から施行したが意識消失せず, 効果なし. 内服治療(ノイロトロピン, αブロッカー,...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 15; no. 1; p. 41
Main Authors 藤本久実子, 高田知季, 金丸哲也, 廣建志, 赤池達正, 加藤茂, 松本祐弥子, 三村真一郎, 竹田清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2008
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Summary:症例:44歳, 女性. 右栂指MPI関節の捻挫を契機に右上肢RSDとなる. 治療開始後, 数年前発症した頸椎症より左上肢痛, 20年来の坐骨神経痛より右下肢痛, 左下肢にも灼熱痛, アロディニアが波及. 四肢全体・臀部背部の難治性疼痛となった. 治療とその効果:星状神経節ブロック・頸部硬膜外ブロックは上肢痛軽減に効果あり. 腰部硬膜外ブロックを下肢痛への効果を期待して施行していたが, ブロック時の灼熱痛・アロディニアが徐々に強くなる. くも膜下ブロックは完全知覚消失中でも灼熱痛ありを確認したのみ. 全脊麻を腰部から施行したが意識消失せず, 効果なし. 内服治療(ノイロトロピン, αブロッカー, 漢方薬)は疼痛軽減効果あり. また抗うつ薬内服をしてみたが, 効果なく副作用のみが目立つため中止. 鍼灸治療・光線療法は灼熱痛・アロディニアの増強を誘発する筋疲労の軽減に効果あり. 考察:症状が全身に及び, また, 下肢症状は腰部硬膜外ブロック・くも膜下ブロックでかえって悪化するため, 治療に難渋している. 仕事(麻酔科医師)を継続しながらの治療には制限もある.
ISSN:1340-4903