2. 硬膜外併用麻酔により術後早期に踵に水疱が生じた2症例

硬膜外併用麻酔により術後早期に踵に水疱が生じた2症例を経験したので報告する. 症例1:63歳女性. 子宮体癌に対し, 準広汎子宮全摘術, 両側附属器切除術, 骨盤傍大動脈リンパ節郭清が計画された. 硬膜外麻酔併用全身麻酔を施行した. 硬膜外麻酔はL2~3椎間より傍正中法で行い, カテーテル先端を硬膜外腔4.5cm上方とした. フェンタニル添加0.2%ロピバカイン5ml/hを手術中より注入開始し帰室した. 術後3日目硬膜外カテーテル抜去したが, 硬膜外持続麻酔薬注入中は右大腿部, 左踵の知覚低下を自覚していた. 術後4日目に左踵は褥瘡のため水疱形成し, その後膿疱となった. 当科受診時には自覚症...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 13; no. 1; p. 30
Main Authors 紀伊典克, 亀井倫子, 藤井知美, 長櫓巧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2006
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Summary:硬膜外併用麻酔により術後早期に踵に水疱が生じた2症例を経験したので報告する. 症例1:63歳女性. 子宮体癌に対し, 準広汎子宮全摘術, 両側附属器切除術, 骨盤傍大動脈リンパ節郭清が計画された. 硬膜外麻酔併用全身麻酔を施行した. 硬膜外麻酔はL2~3椎間より傍正中法で行い, カテーテル先端を硬膜外腔4.5cm上方とした. フェンタニル添加0.2%ロピバカイン5ml/hを手術中より注入開始し帰室した. 術後3日目硬膜外カテーテル抜去したが, 硬膜外持続麻酔薬注入中は右大腿部, 左踵の知覚低下を自覚していた. 術後4日目に左踵は褥瘡のため水疱形成し, その後膿疱となった. 当科受診時には自覚症状は左第1趾のしびれのみで, 発赤は軽快し排膿もなく潰瘍も縮小傾向であった. 症例2:38歳女性. 骨盤位により帝王切開術が計画された. 腰椎麻酔および硬膜外麻酔で施行した. 硬膜外麻酔はTh12~L1椎間より傍正中法で行い, カテーテル先端を硬膜外腔6cm上方とした. その後腰椎麻酔はL2~3椎間より高比重ブピバカイン12mgで行った. 0.2%ロピバカイン5ml/hを手術中より注入開始し帰室した. 術当日夜より両踵部に痛みが出現し, 翌日夜には右踵部に径1.5cmの水疱が出現した. 下肢が動きにくいため術翌日夜に硬膜外カテーテルを抜去した. 水疱は約1週間で軽快した. 考察:硬膜外麻酔併用により術後早期に褥瘡が生じることがあり注意を要する.
ISSN:1340-4903