2―090 フェントラミンの持続静注が有効であった強皮症による難治性母指末端潰瘍性疼痛の1例

腹部癌性疼痛や神経因性疼痛に対して, フェントラミンの持続静注の有用性が報告されている. 今回我々は強皮症による難治性母指末端潰瘍性疼痛患者に疼痛緩和を目的にフェントラミンの持続静注を試みた. 【症例】39歳, 女性. 【既往歴】特発性硬膜下血腫. 10年前より手指のレイノー症状があり, 5年前に強皮症と診断された. 4年前から右手第1~3指に潰瘍が生じ, 疼痛緩和の目的で右星状神経節ブロックを合計8回受けた. 右母指の潰瘍性疼痛が増強し, 平成15年7月28日麻酔科を紹介された. VASは日中5/10, 夜間9/10であった. 毎日塩酸サルポグレラート200mg, アスピリン2gの内服を受け...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 11; no. 3; p. 340
Main Authors 安川健一, 安川昌子, 新渕こずえ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2004
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Summary:腹部癌性疼痛や神経因性疼痛に対して, フェントラミンの持続静注の有用性が報告されている. 今回我々は強皮症による難治性母指末端潰瘍性疼痛患者に疼痛緩和を目的にフェントラミンの持続静注を試みた. 【症例】39歳, 女性. 【既往歴】特発性硬膜下血腫. 10年前より手指のレイノー症状があり, 5年前に強皮症と診断された. 4年前から右手第1~3指に潰瘍が生じ, 疼痛緩和の目的で右星状神経節ブロックを合計8回受けた. 右母指の潰瘍性疼痛が増強し, 平成15年7月28日麻酔科を紹介された. VASは日中5/10, 夜間9/10であった. 毎日塩酸サルポグレラート200mg, アスピリン2gの内服を受けていた. 少量のフェントラミンを分割静注して効果を確認後, 入院させてフェントラミン80mg/日, 2日間の持続静注を行った. VASは日中3/10, 夜間5/10となった. 平成16年3月まで合計3回のフェントラミンの持続静注を行い, VASは0/10となった. 【考察】フェントラミンによる交感神経遮断は, 局所麻酔薬による交感神経ブロックに匹敵する鎮痛効果を有すると言われている. 今回の症例の様に出血傾向のある症例では, フェントラミンの持続静注は星状神経節ブロックに代わる一つの方法である.
ISSN:1340-4903