2―003 熱痛を主訴とする三叉神経痛にイオントフォレーシスによるモルヒネ混合リドカイン投与が有効であった症例

【症例】75歳, 女性. 2年前左部の痛みを主訴に脳神経外科を受診. 画像診断上, 異常所見は認められなかった. 特発性三叉神経痛と診断され, カルバマゼピン内服を約一週間継続したが, 無効のため自己判断で中止していた. 以後NSAIDsなども服用したが, 効果なく放置していた. 最近痛みが増強したため当科初診. 同部位に帯状疱疹の既往はなく, 色素沈着や皮疹は認められなかった. 左眼瞼周囲から部に持続する熱痛と, 数ヶ所をトリ ガーポイントとする冷感アロディニアを訴えた. 神経原性炎症の関与を疑い, 10%リドカインに塩酸モルヒネ 2mgを混合しイオントフォレーシスを施行した. 疼痛は二日間...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 11; no. 3; p. 311
Main Authors 東 俊晴, 中尾正和, 松本千香子, 白石成二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2004
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ISSN1340-4903

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Summary:【症例】75歳, 女性. 2年前左部の痛みを主訴に脳神経外科を受診. 画像診断上, 異常所見は認められなかった. 特発性三叉神経痛と診断され, カルバマゼピン内服を約一週間継続したが, 無効のため自己判断で中止していた. 以後NSAIDsなども服用したが, 効果なく放置していた. 最近痛みが増強したため当科初診. 同部位に帯状疱疹の既往はなく, 色素沈着や皮疹は認められなかった. 左眼瞼周囲から部に持続する熱痛と, 数ヶ所をトリ ガーポイントとする冷感アロディニアを訴えた. 神経原性炎症の関与を疑い, 10%リドカインに塩酸モルヒネ 2mgを混合しイオントフォレーシスを施行した. 疼痛は二日間消失した後再発したが, 範囲の縮小と軽減が認められた. 以後週3回, 計7回加療した時点で持続痛は消失した. 軽度の冷感アロディニアは残存したが自制可能であったため, アミトリプチリン 10mg/日を内服処方し, 現在6ヶ月経過観察中である. 【結語】熱痛を主訴とする三叉神経痛に対して, オピオイド混合リドカイン局所投与が有効な症例を経験した.
ISSN:1340-4903