2―001 バクロフェンが有効であった三叉神経痛, 舌咽神経痛の2症例

三叉神経痛ならびに舌咽神経痛は, 血管等による神経の圧迫が主な原因と考えられている. 治療としてカルバマゼピン(CBZ)投与が行われるが, 副作用や効果減弱のため侵襲的な治療を必要とすることも多い. 今回, バクロフェンが有効であった2症例を経験したので報告する. 【症例1】65歳, 男性. 発作性左顔面痛に対して, 左三叉神経痛(第2枝)の診断でCBZ投与を開始されたが, 全身性皮疹のために中止された. 神経ブロックと漢方薬で疼痛は軽快したが, 約2年半後に再燃した. 神経ブロックの効果がないため, バクロフェン(10mg/日)を開始したところ, VAS 85~100mmの痛みが0mmとなっ...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 11; no. 3; p. 311
Main Authors 中谷俊彦, 蛭田博行, 茂山泰樹, 李 新恵, 土井克史, 佐倉伸一, 齊藤洋司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2004
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ISSN1340-4903

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Summary:三叉神経痛ならびに舌咽神経痛は, 血管等による神経の圧迫が主な原因と考えられている. 治療としてカルバマゼピン(CBZ)投与が行われるが, 副作用や効果減弱のため侵襲的な治療を必要とすることも多い. 今回, バクロフェンが有効であった2症例を経験したので報告する. 【症例1】65歳, 男性. 発作性左顔面痛に対して, 左三叉神経痛(第2枝)の診断でCBZ投与を開始されたが, 全身性皮疹のために中止された. 神経ブロックと漢方薬で疼痛は軽快したが, 約2年半後に再燃した. 神経ブロックの効果がないため, バクロフェン(10mg/日)を開始したところ, VAS 85~100mmの痛みが0mmとなった. 【症例2】76歳, 男性. 食事などにより誘発される左咽頭部痛が続いていた. 左舌咽神経痛の診断で, CBZ内服と神経ブロックおよび漢方薬治療を行っていた(VAS 46~50mm). 痛みが増強したため(VAS 96mm), バクロフェン(20mg/日)を併用すると症状が軽快した(VAS 36mm). 【考察】バクロフェンはGABA類似化合物であり, 興奮性神経伝達物質の放出を抑制させることが知られている. 発作性疼痛をおこす両疾患に対して, バクロフェンの作用が有効に働いたと推察された.
ISSN:1340-4903