3,骨盤転移性腫瘍に対して持続くも膜下ブロックを行った症例
35歳, 女性, 平成15年5月上旬から左腰部痛を自覚, 複数の医療機関を受診するも原因が不明であった. 7月, CT撮影にて骨盤腔内腫瘍と, 骨融解像が認められた. 本学婦人科での生検の結果, 扁平上皮癌と診断され, 子宮頸癌の進展であると考えられた. 当科受診時, 左腰下肢痛はみられていたもののベッド脇での立位保持は可能であり, 持続硬膜外ブロックを勧めたが, カテーテル留置を拒否され, 鎮痛薬(ケタミン 350mg/day, 塩酸モルヒネ 1,000mg/day, 塩酸リドカイン1,200mg/day)の持続静注療法を行った. 放射線治療, 抗癌剤治療を行ったが, 腫瘍の増大と疼痛の増強...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 10; no. 4; pp. 531 - 532 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
2003
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Summary: | 35歳, 女性, 平成15年5月上旬から左腰部痛を自覚, 複数の医療機関を受診するも原因が不明であった. 7月, CT撮影にて骨盤腔内腫瘍と, 骨融解像が認められた. 本学婦人科での生検の結果, 扁平上皮癌と診断され, 子宮頸癌の進展であると考えられた. 当科受診時, 左腰下肢痛はみられていたもののベッド脇での立位保持は可能であり, 持続硬膜外ブロックを勧めたが, カテーテル留置を拒否され, 鎮痛薬(ケタミン 350mg/day, 塩酸モルヒネ 1,000mg/day, 塩酸リドカイン1,200mg/day)の持続静注療法を行った. 放射線治療, 抗癌剤治療を行ったが, 腫瘍の増大と疼痛の増強を認め, 根治的療法の適応ではないと判断されたため, 10月21日に緩和ケアセンターに転棟した. 疼痛が強く, また骨浸潤が強く, 腰椎, 仙腸関節, 腸骨の破壊が認められていたため, 持続硬膜外ブロック単独での疼痛コントロールは困難と判断し, L3/4からカテーテル挿入し, 持続くも膜下ブロックを行った. くも膜下カテーテルからは高比重0.5%ブピバカイン8mlと塩酸モルヒネ10mgを混合し1.0ml/hrで持続投与を行い, 疼痛増強時のレスキューとして, 高比重0.5%ブピバカイン1ml, テトラカイン40mgと20%ブドウ糖液1mlの投与等を行った. 12月に死の転帰をとるまで, 約1ヶ月半の間, くも膜下カテーテルを留置し鎮痛を図った. 病状の進行に伴い, 完全な無痛状態を得ることは困難になったが, 末期の疼痛を減少することはできたのではないかと思われる. |
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ISSN: | 1340-4903 |