2-A-65 硬膜外カテーテル留置後早期に広範囲な硬膜外膿瘍を生じた1症例

症例は81歳女性, 帯状疱疹後神経痛に対してTh11/12より硬膜外カテーテルを留置しPCEA併用持続硬膜外ブロックを開始した. 糖尿病で内科外来経過観察中であったが治療は開始されていなかった. カテーテル留置後3日目に脱力を訴えたが神経症状はなく硬膜外ブロックによる筋力低下と考え, 硬膜外持続注入を一時中断した. 4日目に39℃の熱発を認めガーゼ交換施行するも局所に炎症所見を認めなかった. 5日目血液検査上強い炎症所見を認めカテーテル挿入部より膿を認めたためカテーテル抜去した. 神経症状は認めなかったが頚部痛を訴えた. 緊急MRIで硬膜外膿瘍を認め, 抗生剤治療を開始したが7日目に両指尖部の...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 10; no. 3; p. 400
Main Authors 久保隆嗣, 中川五男, 濱田 宏, 上杉文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2003
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ISSN1340-4903

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Summary:症例は81歳女性, 帯状疱疹後神経痛に対してTh11/12より硬膜外カテーテルを留置しPCEA併用持続硬膜外ブロックを開始した. 糖尿病で内科外来経過観察中であったが治療は開始されていなかった. カテーテル留置後3日目に脱力を訴えたが神経症状はなく硬膜外ブロックによる筋力低下と考え, 硬膜外持続注入を一時中断した. 4日目に39℃の熱発を認めガーゼ交換施行するも局所に炎症所見を認めなかった. 5日目血液検査上強い炎症所見を認めカテーテル挿入部より膿を認めたためカテーテル抜去した. 神経症状は認めなかったが頚部痛を訴えた. 緊急MRIで硬膜外膿瘍を認め, 抗生剤治療を開始したが7日目に両指尖部のしびれが出現したため同日緊急で膿瘍除去ドレナージ, 頸椎椎弓形成, 胸椎椎弓切除を行った. 術直前のMRIでは頭側はC1レベルに達する硬膜外膿瘍およびC1/2レベル棘突起背側に硬膜外膿瘍と連続する膿瘍が形成されていた. 起炎菌は黄色ブドウ球菌と判明した. 大量の硬膜外膿瘍形成に関わらず神経症状に乏しかったのは菌の増殖が局所にとどまることなく広範囲に及び, 一部硬膜外腔を逸脱したためと思われた.
ISSN:1340-4903