1―99硬膜外脊髄刺激電極留置5ヶ月後に, 脊椎炎, 硬膜外膿瘍, 膿胸を発症した1症例

【症例】64歳, 男性, 脊髄出血後疼痛【既往歴】昭和63年, 高熱と共に下半身麻痺出現し, 血腫除去目的でTh10~L3, L5椎弓切除術施行, 臀部褥瘡【現病歴】平成13年4月から腰下肢痛増強し近医入院. 6月当科紹介. Th7/8以下は変性高度であったため, Th6/7より脊髄刺激電極挿入したが, 良好な鎮痛効果が得られた. 11月より褥瘡悪化, 11月28日高熱, 胸背部の激痛出現し近医入院. WBC 23900, CRP 33で硬膜外膿瘍疑いで12月4日当科転院【経過】即日電極, レシーバー抜去したが, 同部位に感染所見はなかった. MRIでTh8/9硬膜外膿瘍, TH7/8椎体椎間...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 9; no. 3; p. 251
Main Authors 江口千恵子, 内山博子, 加治屋より子, 川内義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2002
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Summary:【症例】64歳, 男性, 脊髄出血後疼痛【既往歴】昭和63年, 高熱と共に下半身麻痺出現し, 血腫除去目的でTh10~L3, L5椎弓切除術施行, 臀部褥瘡【現病歴】平成13年4月から腰下肢痛増強し近医入院. 6月当科紹介. Th7/8以下は変性高度であったため, Th6/7より脊髄刺激電極挿入したが, 良好な鎮痛効果が得られた. 11月より褥瘡悪化, 11月28日高熱, 胸背部の激痛出現し近医入院. WBC 23900, CRP 33で硬膜外膿瘍疑いで12月4日当科転院【経過】即日電極, レシーバー抜去したが, 同部位に感染所見はなかった. MRIでTh8/9硬膜外膿瘍, TH7/8椎体椎間板炎, 椎体周囲の炎症, 胸水が指摘された. 抜去時の胸腔ドレーン培養よりMRSAが検出されたが, その後胸水(膿)からは, E. faeciumが検出された. 炎症範囲が広範で, 既に下半身麻痺であることから外科的処置は行わず抗生剤で治療したが疼痛激しくフェンタニール持続静注20日間必要とした. 1月28日, CRP 1.6となり, 近医に転院となった. 【結語】硬膜外脊髄刺激電極留置5ヶ月後に硬膜外腔, 脊椎, 胸腔に及ぶ重篤な感染を発症した1症例を報告した. 電極装置留置部位に感染所見はなく, 感染の初発部位, 経路についての特定はできなかった.
ISSN:1340-4903