PKC活性化剤が脊髄律角深層広作動域ニューロン活動におよぼす影響

フオルポールエステル(PDBu)はプロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤として知られており, 脊髄レベルで痛覚過敏を起こすとの報告がある. 我々は家兎の脊髄にPKC活性化剤であるPDBuを投与し脊髄後角深層広作動域(WDR)ニューロン活動におよぼす影響について電気生理学的に検討した. (方法)下部胸椎で脊髄を離断し, L2からS1で脊髄を露出させた. 興奮性受容野をもつWDRニューロン活動はタングステン電極を用いて細胞外微小電極法によって導出した. 1)自発発射活動を10分間測定後, タッチ, ピンチによる誘発発射活動を測定(コントロール). 2)10分間0.1 mMのPDBuを脊髄露出面よ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 8; no. 3; p. 153
Main Authors 新井丈郎, 井上久, 土田実砂, 高野義人, 佐藤勲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2001
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:フオルポールエステル(PDBu)はプロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤として知られており, 脊髄レベルで痛覚過敏を起こすとの報告がある. 我々は家兎の脊髄にPKC活性化剤であるPDBuを投与し脊髄後角深層広作動域(WDR)ニューロン活動におよぼす影響について電気生理学的に検討した. (方法)下部胸椎で脊髄を離断し, L2からS1で脊髄を露出させた. 興奮性受容野をもつWDRニューロン活動はタングステン電極を用いて細胞外微小電極法によって導出した. 1)自発発射活動を10分間測定後, タッチ, ピンチによる誘発発射活動を測定(コントロール). 2)10分間0.1 mMのPDBuを脊髄露出面より20 ml/hの速度で潅流し自発発射活動を測定した. 5分間生食でwash out後クッチ, ピンチによる誘発発射活動を測定した. 3)その後の自発発射活動を60分間測定した. (結果)PDBu投与で自発発射活動は増加した. その後のタッチによる誘発発射活動はコントロールに比べ有意に増加した. ピンチによる誘発発射活動は大きな変化を示さなかった. (まとめ)PDBuはWDRニューロンの自発発射活動を増加させた. クッチ刺激による誘発発射活動を増加させた. 以上よりPDBu投与はPKCの作用を介してcentral sensitizationを起こしたと考えられた.
ISSN:1340-4903