2本の硬膜外カテーテルを用いて疼痛管理を行った足部切断術後痛の1症例

今回われわれは, 下肢壊疽の右足部切断術後痛に対して, L_2/3 とL_5 /S_1 より挿入した2本の硬膜外カテーテルによる持続硬膜外ブロックによって術後疼痛管理を行うことができた1症例を経験したので報告する. 症例は34歳の男性で, 皮膚筋炎に合併した神経炎による足部の壊疽に対して, 当院整形外科に入院中であった. 脊椎麻酔下において壊死部の切断術を受けており, 手術後5日間経過したが, 術後断端痛が強く, 幻肢痛様の疼痛も出現していた. また, 強い疼痛のため入眠障害も呈していた. NSAIDsの坐薬, 静注や麻薬拮抗性鎮痛薬による疼痛管理不能であったため, ペインクリニック外来受診と...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 8; no. 1; pp. 41 - 42
Main Authors 池田知史, 岡野隆利, 斎藤有樹, 小林俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2001
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Summary:今回われわれは, 下肢壊疽の右足部切断術後痛に対して, L_2/3 とL_5 /S_1 より挿入した2本の硬膜外カテーテルによる持続硬膜外ブロックによって術後疼痛管理を行うことができた1症例を経験したので報告する. 症例は34歳の男性で, 皮膚筋炎に合併した神経炎による足部の壊疽に対して, 当院整形外科に入院中であった. 脊椎麻酔下において壊死部の切断術を受けており, 手術後5日間経過したが, 術後断端痛が強く, 幻肢痛様の疼痛も出現していた. また, 強い疼痛のため入眠障害も呈していた. NSAIDsの坐薬, 静注や麻薬拮抗性鎮痛薬による疼痛管理不能であったため, ペインクリニック外来受診となった. 他の合併症としてはC型肝炎があり, 肝機能が低下していたが, 出血傾向は認められなかった. 当初L_5 /S_1 より硬膜外カテーテルを尾側に向けて挿入し持続硬膜外ブロックを施行し, 疼痛管理を試みていたが, 幻肢痛様の症状は改善したものの断端痛は残存した. そのため, 加えてL_2/3 より硬膜外カテーテルを挿入しL_5 /S_1 より持続硬膜外ブロック, L_2/3 より1日2回の局所麻酔薬のbolus注入を約1週間施行したところ, 断端痛も低下し, 入眠も可能となった. カテーテル抜去後も疼痛増強を認めなかったため, 整形外科的な創部の治療終了の後, 退院となった. 結語:難治性の術後創部痛の1症例を経験した. L_2/3 とL_5 /S_1 より留置した2本のカテーテルを用いた硬膜外ブロックによって疼痛管理が可能であった.
ISSN:1340-4903