硬膜外アクセス埋め込み後に髄膜炎を発症した1例

硬膜外アクセスによる持続注入施行中の症例において髄膜炎の発症をみた. 症例は31歳, 男性. 1996年8月, 直腸癌にて大腸全摘術を受けた. 1998年8月から局所再発による左大腿部, 肛門部痛が出現, 同12月, 硬膜外アクセスの埋め込みを行ない持続注入を開始した. 1999年3月, 硬膜外カテーテル皮下埋め込み部の感染にてアクセスを摘出, 1ヵ月後に再度埋め込みを行なった. 同10月, 肛門部の除痛が不十分なためにくも膜下フェノールブロックを施行したが, 髄液の白濁を認めMRSAを検出した. VCM, MINOの投与により炎症反応, 髄液の白濁は消失したが, 2000年2月, 髄膜刺激症...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 4; p. 49
Main Authors 土屋典生, 森本昌宏, 河田圭司, 村上晴也, 蔵昌宏, 古賀義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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Summary:硬膜外アクセスによる持続注入施行中の症例において髄膜炎の発症をみた. 症例は31歳, 男性. 1996年8月, 直腸癌にて大腸全摘術を受けた. 1998年8月から局所再発による左大腿部, 肛門部痛が出現, 同12月, 硬膜外アクセスの埋め込みを行ない持続注入を開始した. 1999年3月, 硬膜外カテーテル皮下埋め込み部の感染にてアクセスを摘出, 1ヵ月後に再度埋め込みを行なった. 同10月, 肛門部の除痛が不十分なためにくも膜下フェノールブロックを施行したが, 髄液の白濁を認めMRSAを検出した. VCM, MINOの投与により炎症反応, 髄液の白濁は消失したが, 2000年2月, 髄膜刺激症状が出現, 同剤の投与を必要とした. 以上, 硬膜外アクセスの長期留置では針刺入部からの細菌感染が大きな問題となるものの, 他に有効な除痛方法がない場合には持続注入を続行せざるを得ないことがあり, これら感染症の発症を念頭において疼痛管理に当たるべきである.
ISSN:1340-4903