モルヒネの投与によりリハビリテーションが可能となったSLEの1症例

今回, 関節破壊, 化膿性関節炎, 関節拘縮による疼痛のため長期臥床となったSLE患者に対してモルヒネを投与し, 良好な結果を得たので報告する. 症例:22歳, 女性, 准看護婦. 21歳時にSLEを発症し, ステロイド投与が開始された. しかし, 病状の増悪により高用量のステロイドが長期間投与されたため, 両側の股関節破壊が進行し, 長期臥床状態が続いた. また, 膝, 股, 胸鎖関節を中心に緑膿菌による化膿性関節炎を併発し, 一時細菌性ショック状態に陥り, 集中治療室にて人工呼吸, 人工透析を受けていた. その後, 全身状態は改善されて一般病棟に帰室したが, 下肢を中心とした全身の関節痛が...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 4; p. 46
Main Authors 山口重樹, 山崎肇, 奥田圭子, 見塩六生, 奥田泰久, 北島敏光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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Summary:今回, 関節破壊, 化膿性関節炎, 関節拘縮による疼痛のため長期臥床となったSLE患者に対してモルヒネを投与し, 良好な結果を得たので報告する. 症例:22歳, 女性, 准看護婦. 21歳時にSLEを発症し, ステロイド投与が開始された. しかし, 病状の増悪により高用量のステロイドが長期間投与されたため, 両側の股関節破壊が進行し, 長期臥床状態が続いた. また, 膝, 股, 胸鎖関節を中心に緑膿菌による化膿性関節炎を併発し, 一時細菌性ショック状態に陥り, 集中治療室にて人工呼吸, 人工透析を受けていた. その後, 全身状態は改善されて一般病棟に帰室したが, 下肢を中心とした全身の関節痛が増悪し, 疼痛治療を目的として当科に紹介となった. 当科受診時, 化膿性関節炎は鎮静状態にあったが, シンチグラフィー上の右胸鎖関節の集積像, 血液検査上の軽度の炎症所見を認めた. また, SLEによる腎障害を認めた患者は疼痛のため寝返り, ベッド移動などの軽い体動も困難で, 1年以上の長期臥床状態が続いていた. ブプレノルフィンの静注により疼痛コントロールが行なわれていたが, 1日1.0mgの投与にも関わらず不良であった. 神経ブロック, NSAIDsによる疼痛治療は困難と判断し, モルヒネの投与を計画した.
ISSN:1340-4903