胸椎, 肋骨転移に対して神経根, 肋間フェノールブロックが有効であった肺癌患者の1症例

胸椎転移の癌性疼痛に対する治療として, クモ膜下フェノールブロックがある. 転移が広範囲であるときや合併症などの点で, 一般的には硬膜外モルヒネによる管理が行なわれている. これは手技の簡便性, 合併症が少ないなどの点で選択される. しかし, 体動時痛には無効である. 今回, われわれは肺癌の肋骨, 胸椎転移による疼痛に対してフェノールによる肋間神経ブロックと神経根ブロックが有効であった症例を経験した. 症例は72歳, 男性. 胸背部痛に対し, モルヒネ, 持続硬膜外ブロックにても疼痛管理困難となり, 1999年7月, 当科紹介. 精査にて左Th_5 ~Th_11 にかけての胸椎, 肋骨転移を...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 4; pp. 33 - 34
Main Authors 松原香名, 比嘉正祐, 井上鉄夫, 宝亀彩子, 小澤るり子, 巌康秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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Summary:胸椎転移の癌性疼痛に対する治療として, クモ膜下フェノールブロックがある. 転移が広範囲であるときや合併症などの点で, 一般的には硬膜外モルヒネによる管理が行なわれている. これは手技の簡便性, 合併症が少ないなどの点で選択される. しかし, 体動時痛には無効である. 今回, われわれは肺癌の肋骨, 胸椎転移による疼痛に対してフェノールによる肋間神経ブロックと神経根ブロックが有効であった症例を経験した. 症例は72歳, 男性. 胸背部痛に対し, モルヒネ, 持続硬膜外ブロックにても疼痛管理困難となり, 1999年7月, 当科紹介. 精査にて左Th_5 ~Th_11 にかけての胸椎, 肋骨転移を認めた. フェノール水による肋間神経ブロック, フェノールグリセリンによる神経根ブロックにより疼痛軽減し, モルヒネ徐放剤とジクロフェナクトリウム坐薬により退院可能. 1999年12月31日の死亡するまでの間, 神経ブロックのための短期入院で在宅生活が可能となった.
ISSN:1340-4903