星状神経節ブロック後に静脈内一酸化窒素(NO)濃度は低下する
星状神経節ブロック(SGB)が, NO系に及ぼす影響を検討した. 方法:健康成人18名に1%メピバカイン8mlを用いてSGBを行ない, 血中と尿中のNOの安定代謝産物であるNO_3 ^- 濃度を測定した. 同時に循環動態, 血算および電解質を測定した. 静脈血中NO_3 ^- 濃度は, SGB前値37.4±21.9μmol/リットルに対してブロック後は, ブロック側, 対側ともにそれぞれ34.5±18.2μmol/リットル, 30.3±15.3μmol/リットルと有意に低下(p<0.05)した. 各血球成分の有意な低下も認めたが, 電解質, 血圧, 心拍数には変化を認めなかった. 結論:...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 4; pp. 28 - 32 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
2000
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Summary: | 星状神経節ブロック(SGB)が, NO系に及ぼす影響を検討した. 方法:健康成人18名に1%メピバカイン8mlを用いてSGBを行ない, 血中と尿中のNOの安定代謝産物であるNO_3 ^- 濃度を測定した. 同時に循環動態, 血算および電解質を測定した. 静脈血中NO_3 ^- 濃度は, SGB前値37.4±21.9μmol/リットルに対してブロック後は, ブロック側, 対側ともにそれぞれ34.5±18.2μmol/リットル, 30.3±15.3μmol/リットルと有意に低下(p<0.05)した. 各血球成分の有意な低下も認めたが, 電解質, 血圧, 心拍数には変化を認めなかった. 結論:頸部交感神経遮断による血管拡張に反応して生じたと思われる, 血中NO_3 ^- 濃度の低下を認めた. 星状神経節ブロック(stellate ganglion block:SGB)は, 支配領域の血管拡張作用による血流改善を目的にさまざまな疾患の治療に用いられている1). 一方, 一酸化窒素(nitric oxide:NO)は, 血管内皮細胞より産生される血管平滑筋弛緩因子であり, 中枢あるいは末梢神経系においては神経伝達物質としても作用している2). したがって, SGB施行がNO系になんらかの影響を及ぼす可能性が予想されるが, この点についてはいまだ明らかにされていない. 今回われわれは, SGBによる末梢循環系の変化に伴いNO系がどのように変動するかを, 健康成人にSGBを行なうことにより検討した. |
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ISSN: | 1340-4903 |