トータルスパイナルブロックが有効であった帯状疱疹後神経痛の一症例

重症帯状疱疹後神経痛(以下PHN)に対してトータルスパイナルブロック(以下TSB)が有効であった症例を経験したので報告する. 〔症例〕64歳男性. 1998年9月初旬 帯状疱疹を発症. 皮疹の消退後, 近医でNSAIDS, 漢方薬による疼痛治療を受けていたが無効であったため, 1998年11月から通院を中止した. 1999年4月初旬 痛みを我慢できなくなり当院を受診. 主訴は右大腿から下腿の電撃痛を伴う持続痛, アロジニアと睡眠障害. 表情は苦悶様であった. 〔経過〕入院後, 腰部硬膜外神経持続ブロックを行ったが無効. drug challenge testにてケタミン陽性であったためケタミン...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 179
Main Authors 長野真行, 西山淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:重症帯状疱疹後神経痛(以下PHN)に対してトータルスパイナルブロック(以下TSB)が有効であった症例を経験したので報告する. 〔症例〕64歳男性. 1998年9月初旬 帯状疱疹を発症. 皮疹の消退後, 近医でNSAIDS, 漢方薬による疼痛治療を受けていたが無効であったため, 1998年11月から通院を中止した. 1999年4月初旬 痛みを我慢できなくなり当院を受診. 主訴は右大腿から下腿の電撃痛を伴う持続痛, アロジニアと睡眠障害. 表情は苦悶様であった. 〔経過〕入院後, 腰部硬膜外神経持続ブロックを行ったが無効. drug challenge testにてケタミン陽性であったためケタミン療法を開始し, ある程度の鎮痛効果を得られたが不充分. 腰部交感神経節ブロックを行ったが痛みには無効. 中枢性疼痛の関与を考慮して健側SGBを開始. SGB効果持続中, 入眠する程度の除痛効果を得られた. そこで, 中枢性疼痛に対する持続性のある治療が最も有効であると判断し, TSBを5回施行した. TSB後, 著しい除痛効果を認め, 疼痛時ケタミン内服により疼痛自制内, 睡眠障害なしとなったため, 外来治療可能となった. 〔結語〕各種神経ブロックに対し治療抵抗性で中枢性疼痛の関与が大きいと考えられるPHNに対して, ケタミン療法とTSBの併用が有用である.
ISSN:1340-4903