星状神経節ブロック後の鼻粘膜血流・顔面血流量の変化

星状神経節ブロック(以下SGB)は頚部の交感神経節ブロックであり, ペインクリニックにおいて広く用いられている. これまでに皮膚, 顔面神経等の血流量を測定した報告はあるが鼻粘膜の血流を測定した報告はみあたらない. 今回我々はSGB前後の顔面(頬部), 鼻粘膜の血流の変化を測定した. 対象は顔面疾患, 鼻疾患のないヘルシーボランティア10名とした. 安静仰臥15分後をコントロールとし, 同一医師により, 1%リドカイン5mlにてSGBを行い, 効果はホルネル徴候により確認した. 血流はレーザードップラー血流計(ALF21RD, アドバンス社)にて連続測定した. SGB施行前, 施行5分後から4...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 175
Main Authors 間宮敬子, 斉藤智誉, 朝井裕一, 野崎浩司, 長島君元, 桜井行一, 高畑治, 岩崎寛, 岩元純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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Summary:星状神経節ブロック(以下SGB)は頚部の交感神経節ブロックであり, ペインクリニックにおいて広く用いられている. これまでに皮膚, 顔面神経等の血流量を測定した報告はあるが鼻粘膜の血流を測定した報告はみあたらない. 今回我々はSGB前後の顔面(頬部), 鼻粘膜の血流の変化を測定した. 対象は顔面疾患, 鼻疾患のないヘルシーボランティア10名とした. 安静仰臥15分後をコントロールとし, 同一医師により, 1%リドカイン5mlにてSGBを行い, 効果はホルネル徴候により確認した. 血流はレーザードップラー血流計(ALF21RD, アドバンス社)にて連続測定した. SGB施行前, 施行5分後から40分まで5分ごとに顔面と鼻粘膜の組織血流量, 血液量, 血流速度を測定した. またそれぞれの時間における両前腕の皮膚温, 左足の非観血的血圧測定も行った. 顔面の組織血流量, 血流速度は有意に上昇した. 鼻粘膜の血流速度は一過性に上昇したが, SGB施行25~30分後に血流速度が徐々に低下し, それに伴って血液量が上昇する傾向があらわれた. これは, 頚部の交感神経が遮断されることにより, 鼻粘膜の毛細血管に血液が貯留しそれにより, 血流速度が低下したことを示唆するものであった.
ISSN:1340-4903