甲状腺手術における0.25%ブピバカイン創部浸潤の術後疼痛に対する効果
術後の疼痛管理は患者が痛みを訴えた段階での鎮痛薬の投与ではなくその痛みを先取りしてなくすことがより効果的である. 今回我々は甲状腺手術における術中0.25%ブピバカイン創部浸潤の術後痛に対する効果を検討したので報告する. (対象, 方法)対象は当院で甲状腺の良性腫瘍・バセドウ病の手術を受けた88名を対象にした. 麻酔は全例プロポフォールで導入しGOSで維持した. 創部縫合後に0.25%ブピパカインを創部に浸潤させた群(B群)と浸潤させなかった群(C群)の2群に分け両群とも通常どおりに麻酔から覚醒させた. 患者の訴え, 表情, VQS(verbal quantitative scale)を回復室...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 169 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
2000
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ISSN | 1340-4903 |
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Summary: | 術後の疼痛管理は患者が痛みを訴えた段階での鎮痛薬の投与ではなくその痛みを先取りしてなくすことがより効果的である. 今回我々は甲状腺手術における術中0.25%ブピバカイン創部浸潤の術後痛に対する効果を検討したので報告する. (対象, 方法)対象は当院で甲状腺の良性腫瘍・バセドウ病の手術を受けた88名を対象にした. 麻酔は全例プロポフォールで導入しGOSで維持した. 創部縫合後に0.25%ブピパカインを創部に浸潤させた群(B群)と浸潤させなかった群(C群)の2群に分け両群とも通常どおりに麻酔から覚醒させた. 患者の訴え, 表情, VQS(verbal quantitative scale)を回復室, 術後2時間, 術後6時間の時点で評価した. また術後1日のVAS値, 朝食摂取量, 鎮痛薬の使用回数について比較検討した. 〈結果〉B群において回復室, 術後2時間, 術後6時間での患者の訴え, 表情, VQSの減少がみられた. 特に術後6時間目のVQSは有意に減少していた. 術後1日目のVAS値は39.2±3.9vs42.3±4.8(B群vsC群)とほぽ差はなかったが朝食の摂取量はB群で有意に多かった. 鎮痛薬の使用回数についてはB群において少ない傾向にあった. (結論)0.25%ブピバカイン創部浸潤は簡便な方法であり術後の疼痛の緩和に有用だと思われる. |
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ISSN: | 1340-4903 |