星状神経節ブロック時にけいれん発作を生じたCRPSの1症例

直接偏光近赤外線治療器(スーパーライザー(R))による星状神経節ブロック時に, けいれん発作をおこしたComplex Regional Pain Syndrome(CRPS)の症例を経験したので報告する. [症例]25歳男性. 交通事故後の右上肢痛をうったえる患者に対して直接偏光近赤外線治療器による星状神経節ブロックを行ったところ, 照射開始直後に突然上半身を中心としたけいれん発作を生じた. 呼名にも反応がなかったが, 呼吸停止は認められなかった. ジアゼパムなどを投与したが効果は殆どみられなかった. 精神科医の往診を依頼し, 転換性障害と診断された. 経過観察にて自然に症状が消失した. 本症...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 154
Main Authors 荒川陽子, 木村智政, 山下明子, 細田蓮子, 佐藤祐子, 藤原祥裕, 島田康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:直接偏光近赤外線治療器(スーパーライザー(R))による星状神経節ブロック時に, けいれん発作をおこしたComplex Regional Pain Syndrome(CRPS)の症例を経験したので報告する. [症例]25歳男性. 交通事故後の右上肢痛をうったえる患者に対して直接偏光近赤外線治療器による星状神経節ブロックを行ったところ, 照射開始直後に突然上半身を中心としたけいれん発作を生じた. 呼名にも反応がなかったが, 呼吸停止は認められなかった. ジアゼパムなどを投与したが効果は殆どみられなかった. 精神科医の往診を依頼し, 転換性障害と診断された. 経過観察にて自然に症状が消失した. 本症例ではその他の治療に対しても, 以前から健忘を示すなど多彩な訴えが多かった. 疼痛治療はしばしば侵襲的であり, 局麻中毒などでもけいれん発作を起こすことが経験されている. しかしまれにブロック時に転換性障害としてのけいれん発作がおこりうる可能性がある. しかしこの場合は完全な呼吸停止に至ることはなく, 通常は経過観察で軽快する.
ISSN:1340-4903