後腹膜悪性リンパ腫で腰背部に激痛を生じた1症例
【症例】65才, 男性. 【現病歴】平成11年3月より腰痛, 陰嚢と下肢の浮腫が出現し, 後腹膜などにリンパ節腫脹がある悪性リンパ腫と診断された. 当院内科で化学療法を行い悪性リンパ腫はほぼ寛解し腰痛も軽減していたが, 7月28日より腰背部に激痛が生じた. ジクロフェナック坐薬, ペンタゾシンは著効を示さなかった. 座位, 臥位での疼痛増強が著明で一日中立位に近い姿勢であったため, 両下肢の浮腫が著しく悪化した. コンパートメント症候群による下肢の壊死が懸念され, 8月13日疼痛コントロールのため麻酔科紹介となった. 【経過】直ちに10mg/日のモルヒネ持続皮下注射を開始した. 当日より臥位は...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 105 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
2000
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ISSN | 1340-4903 |
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Summary: | 【症例】65才, 男性. 【現病歴】平成11年3月より腰痛, 陰嚢と下肢の浮腫が出現し, 後腹膜などにリンパ節腫脹がある悪性リンパ腫と診断された. 当院内科で化学療法を行い悪性リンパ腫はほぼ寛解し腰痛も軽減していたが, 7月28日より腰背部に激痛が生じた. ジクロフェナック坐薬, ペンタゾシンは著効を示さなかった. 座位, 臥位での疼痛増強が著明で一日中立位に近い姿勢であったため, 両下肢の浮腫が著しく悪化した. コンパートメント症候群による下肢の壊死が懸念され, 8月13日疼痛コントロールのため麻酔科紹介となった. 【経過】直ちに10mg/日のモルヒネ持続皮下注射を開始した. 当日より臥位は可能となったが体動時痛が強く, 20mg/日に増量した後40mg/日の内服に変えた. 硬膜外ブロックは有効であったが, 脊髄神経根ブロックは著効を示さなかった. 後腹膜リンパ節腫脹に伴う疼痛と判断し, 腹腔神経叢ブロックを行ったところ疼痛は半減した. 下肢の浮腫も臥位が可能になるとともに軽快し, モルヒネ投与量を減量し外来で経過観察となった. 【経過】腰背部に, 後腹膜悪性リンパ腫が原因と思われる激痛が生じた症例を経験した. 疼痛軽減に腹腔神経叢ブロックが有効であった. |
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ISSN: | 1340-4903 |