グラフト採取部位に新たに生じたCRPSの2症例

CRPS(complex regional pain syndrome)は外傷, 手術などを契機に生じ, 難治性のためペインクリニック外来に紹介されることの多い疾患である. CRPSを生じている部位への神経移行術後, 神経採取部位でCRPS type IIを生じた症例を2例経験した. 症例1 平成3年左母指切創し神経縫合術, 皮膚移植術などを受けるが効果なく切断となった. 切断直後より疼痛出現し, ニューロパシックペインと診断された. その後右第II趾を移植し, 神経および血管再建術を行ったところ趾採取部位にCRPStypeIIを生じた. 症例2 平成8年右手根管症候群に対して神経剥離術が予定...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 77
Main Authors 川原秀嗣, 四釜裕睦, 石川岳彦, 大塚浩司, 劔物修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:CRPS(complex regional pain syndrome)は外傷, 手術などを契機に生じ, 難治性のためペインクリニック外来に紹介されることの多い疾患である. CRPSを生じている部位への神経移行術後, 神経採取部位でCRPS type IIを生じた症例を2例経験した. 症例1 平成3年左母指切創し神経縫合術, 皮膚移植術などを受けるが効果なく切断となった. 切断直後より疼痛出現し, ニューロパシックペインと診断された. その後右第II趾を移植し, 神経および血管再建術を行ったところ趾採取部位にCRPStypeIIを生じた. 症例2 平成8年右手根管症候群に対して神経剥離術が予定されたが, 神経腫であったため部分切除が施行された. しかし, 術後から右手首より末梢に疼痛が出現し, ニューロパシックペインと診断された. 2回目の手術の際に左腓骨神経を移植されている. その後神経採取部位にCRPStype IIを生じた. 健常な神経採取部位の皮膚に新たにニューロパシックペインを生ずる危険性に関して, 発症メカニズムについての文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1340-4903