肩の難治性疼痛にくも膜下モルヒネ投与が著効した一例
痛覚過敏, 肩関節可動域制限, 握力低下を来した肩の難治性疼痛に, くも膜下モルヒネ投与が著効した症例を報告する. 34歳男性, 身長約170cm, 体重75kg. バイクで走行中, 自転車と衝突しハンドルで左肩を強打した. 翌日より左肩の疼痛が出現, 本院麻酔科で約1ヶ月入院し, この時は頚部神経根ブロックで改善して退院した. しかし, その後徐々に疼痛が増し, 約一年後再入院した. 入院時, 左肩関節可動域は屈曲20度, 伸展30度, 外転20度, 内転-20度であり, わずかな肩関節運動で疼痛が増強するため三角巾で固定している状態であった. 握力は右50kg, 左12kg. 頚部神経根ブ...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 75 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
2000
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ISSN | 1340-4903 |
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Summary: | 痛覚過敏, 肩関節可動域制限, 握力低下を来した肩の難治性疼痛に, くも膜下モルヒネ投与が著効した症例を報告する. 34歳男性, 身長約170cm, 体重75kg. バイクで走行中, 自転車と衝突しハンドルで左肩を強打した. 翌日より左肩の疼痛が出現, 本院麻酔科で約1ヶ月入院し, この時は頚部神経根ブロックで改善して退院した. しかし, その後徐々に疼痛が増し, 約一年後再入院した. 入院時, 左肩関節可動域は屈曲20度, 伸展30度, 外転20度, 内転-20度であり, わずかな肩関節運動で疼痛が増強するため三角巾で固定している状態であった. 握力は右50kg, 左12kg. 頚部神経根ブロック2回, 胸部交感神経節ブロック1回, トータルスパイナルブロック3回行うもほぼ無効であった. くも膜下モルヒネ投与(0.1mg)を腰部から行ったところ, 効果があり, リハビリを併用しながら合計9回(0.1~0.25mg)行った. その結果, ペインスコアはほぼ0となり, 可動域も改善した. 副作用は初回に掻痒感, 軽い排尿困難, 易勃起性がみられた. 神経根の癒着による疼痛に, 上腕二頭筋腱炎が加わり, 難治性疼痛となったと考えられた. |
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ISSN: | 1340-4903 |