腹痛により鎮痛薬依存状態となった糖尿病患者の治療経験

ペインクリニックにおいては, 疼痛に対して真摯に対応すべきであるが, 鎮痛薬の頻回の投与を必要とする患者への対応には苦慮することが多い. 35歳, 男性. 三大合併症を有する糖尿病患者で, 透析導入を契機に腹痛を訴えるようになった. 頻回のブプレノルフィンの投与が必要となったため当科に紹介された. 糖尿病性自律神経障害に基づく腹痛であると考えられたが, 即効性のある鎮痛を求めるため, ブプレノルフィン坐薬への移行の試みは成功しなかった. 内臓神経ブロックも短期間の効果しか示さなかった. 消化管連続透視で胃内容排出の遅延が認められた. 低残渣食の教育を目的に, 経腸成分栄養を食事としてとらせ,...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 1; p. 83
Main Authors 樋口昭子, 本城信吾, 岩口麻里, 若杉雅浩, 朝日丈尚, 吉田 仁, 長谷川和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:ペインクリニックにおいては, 疼痛に対して真摯に対応すべきであるが, 鎮痛薬の頻回の投与を必要とする患者への対応には苦慮することが多い. 35歳, 男性. 三大合併症を有する糖尿病患者で, 透析導入を契機に腹痛を訴えるようになった. 頻回のブプレノルフィンの投与が必要となったため当科に紹介された. 糖尿病性自律神経障害に基づく腹痛であると考えられたが, 即効性のある鎮痛を求めるため, ブプレノルフィン坐薬への移行の試みは成功しなかった. 内臓神経ブロックも短期間の効果しか示さなかった. 消化管連続透視で胃内容排出の遅延が認められた. 低残渣食の教育を目的に, 経腸成分栄養を食事としてとらせ, ブプレノルフィンを離脱した.
ISSN:1340-4903