半導体レーザーと直線偏光近赤外線による星状神経節近傍照射の比較

目的:高出力半導体レーザーおよび, 直線偏光近赤外線の両者を使用し, 神経伝達抑制作用を利用した星状神経節近傍照射を行ない, その効果を比較した. 方法:健常成人男子5名, 女子5名を対象に15分間の安静臥床後, 星状神経節近傍照射前後の皮膚温変化をサーモグラフィーと, 深部体温計で行なった. 半導体レーザー(出力:1,000mW)は, 星状神経節近傍に10秒照射を5分間行ない, 直線偏光近赤外線は, サイクル照射(出力70%, 2秒入, 4秒切)を5分間行なった. 照射前, 照射後1分ごとに, 10分間, および15分後について, サーモグラフィーによる右顔面, 左右手掌温の測定と左右手首の...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 1; pp. 78 - 79
Main Authors 山下明子, 木村智政, 佐藤祐子, 荒川陽子, 小松 徹, 細田蓮子, 島田康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:目的:高出力半導体レーザーおよび, 直線偏光近赤外線の両者を使用し, 神経伝達抑制作用を利用した星状神経節近傍照射を行ない, その効果を比較した. 方法:健常成人男子5名, 女子5名を対象に15分間の安静臥床後, 星状神経節近傍照射前後の皮膚温変化をサーモグラフィーと, 深部体温計で行なった. 半導体レーザー(出力:1,000mW)は, 星状神経節近傍に10秒照射を5分間行ない, 直線偏光近赤外線は, サイクル照射(出力70%, 2秒入, 4秒切)を5分間行なった. 照射前, 照射後1分ごとに, 10分間, および15分後について, サーモグラフィーによる右顔面, 左右手掌温の測定と左右手首の深部温測定を行なった. 被験者は, 直線偏光近赤外線と半導体レーザーの星状神経節近傍照射を日を改めてそれぞれ1回ずつ行ない, 分散分析をした. 結果:サーモグラフィーによる皮膚温の測定では, 顔面, 手掌とも有意な温度上昇は認めなかった. 直線偏光近赤外線照射後の同側手首の深部温のみで照射2分後から有意に上昇し, 比較的深部における循環改善効果が期待された. 考察:半導体レーザー照射は, 直線偏光近赤外線と同一効果を生じる照射の設定条件を再検討する必要がある. さらに交感神経機能がすでに亢進状態にある疼痛患者で, 半導体レーザーによる星状神経節近傍照射の効果を, 今後検討していく必要があると思われた. 結語:半導体レーザーおよび, 直線偏光近赤外線を健常人の星状神経節近傍部位に照射し, 皮膚温度変化を検討した. 直線偏光近赤外線照射では同側手首の深部温のみが有意に上昇を示し, 高出力半導体レーザー照射では皮膚温変化を認めなかった.
ISSN:1340-4903