減量療法が奏功した, 腰痛症および膝関節痛症の3例

症例1:70歳, 女性, 身長143cm, 体重63kg, BMI30kg/m^2 . 10年前から変形性膝関節症によるPS10/20程度の右膝の痛みを自覚していた. 週に一度のEAPを施行しながら, 耳針と防風通聖散による肥満治療を行なった結果, 体重は2年間で9kg減少し, 膝の痛みはほとんど消失した. 症例2:62歳, 女性, 身長147cm, 体重62kg, BMI29kg/m^2 . 5年前より両膝と腰部の痛みを自覚していた. 痛みの程度は, 両部位ともPS5/20~PS15/20の間を変動していた. 週に一度のEAPを施行しながら, 耳針と防巳黄耆湯による肥満治療を行ない, 6ヵ月...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 1; p. 74
Main Authors 首藤 誠, 首藤聡子, 長櫓 巧, 渡辺敏光, 新井達潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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Summary:症例1:70歳, 女性, 身長143cm, 体重63kg, BMI30kg/m^2 . 10年前から変形性膝関節症によるPS10/20程度の右膝の痛みを自覚していた. 週に一度のEAPを施行しながら, 耳針と防風通聖散による肥満治療を行なった結果, 体重は2年間で9kg減少し, 膝の痛みはほとんど消失した. 症例2:62歳, 女性, 身長147cm, 体重62kg, BMI29kg/m^2 . 5年前より両膝と腰部の痛みを自覚していた. 痛みの程度は, 両部位ともPS5/20~PS15/20の間を変動していた. 週に一度のEAPを施行しながら, 耳針と防巳黄耆湯による肥満治療を行ない, 6ヵ月で7kg減量した. その結果, 起立時に軽度の膝の痛みを自覚するほかは, 痛みはほとんど消失し, 現在も治療を継続している. 症例3:45歳, 女性, 身長151cm, 体重72kg, BMI32kg/m^2 . 最近の1年間で5kgの体重増加があり, PS10/20程度の, 腰部と両膝の痛みを自覚するようになったため来院した. EAPは施行せず, 耳針と, マジンドールおよび防巳黄耆湯による肥満治療を行ない, 4ヵ月で18kgの減量に成功した結果, 痛みは完全に消失した. 考察:肥満症は, 腰痛や膝関節痛の要因であり, 減量によって症状が改善する可能性は高い. 視床下部に作用して満腹感を形成するマジンドールや代謝促進作用をもつ防風通聖散, 水腫軽減作用をもつ防巳黄耆湯などの薬物に, 耳針を併用した肥満治療は, 緩徐に関節の痛みを軽減する治療法として有効であると考えられる.
ISSN:1340-4903