経くも膜下腔-経椎間板接近法による上下腹神経叢ブロック

上下腹神経叢ブロックは骨盤内臓器に由来する疼痛に有効である. 井関らによる経椎間板接近法はPlancarteらの原法(椎体外側接近法)に比し, 手技が容易で合併症も少ないとされているが, 第5腰椎・第1仙椎間が狭小化している例や移行腰仙椎などでは施行が難しい. 今回われわれは, 経椎間板接近法ではブロック針を正中に位置させるのが困難であった2名の癌性疼痛患者に対して, 第5腰椎・第1仙椎間の正中からの接近法(経くも膜下腔-経椎間板接近法)を行った. どちらの患者も1回の穿刺で目標部位に到達でき, 合併症も全くなかった. この方法は腹臥位でも側臥位でもできること, ブロック針を正中に位置させるの...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 6; no. 3; p. 160
Main Authors 山中啓之, 伊藤 淳, 櫻田幽美子, 齋藤浩二, 村上 衛, 袖山直也, 橋本保彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1999
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ISSN1340-4903

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Summary:上下腹神経叢ブロックは骨盤内臓器に由来する疼痛に有効である. 井関らによる経椎間板接近法はPlancarteらの原法(椎体外側接近法)に比し, 手技が容易で合併症も少ないとされているが, 第5腰椎・第1仙椎間が狭小化している例や移行腰仙椎などでは施行が難しい. 今回われわれは, 経椎間板接近法ではブロック針を正中に位置させるのが困難であった2名の癌性疼痛患者に対して, 第5腰椎・第1仙椎間の正中からの接近法(経くも膜下腔-経椎間板接近法)を行った. どちらの患者も1回の穿刺で目標部位に到達でき, 合併症も全くなかった. この方法は腹臥位でも側臥位でもできること, ブロック針を正中に位置させるのが容易であることが利点で, 初心者にも比較的容易に行える手技であると考えられた. しかし, 馬尾を損傷する危険性, 硬膜穿刺後頭痛の問題などから適応は限定すべきであると思われた.
ISSN:1340-4903