Neuropathic painにおけるリドカイン静脈内投与が末梢交感神経活動に及ぼす影響

リドカインの静脈内投与が末梢交感神経活動に及ぼす影響を, 神経性発汗量を測定することによって検討した. 健康成人では有意な変化がないことを既に報告した. 今回, neuropathic pain患者を対象に同様の検討をした. 【対象・方法】四肢のneuropathic pain患者10例を対象とした(帯状疱疹後神経痛3例, CRPS6例, 糖尿病性神経障害1例. 62±15.6歳). 仰臥位にて患部または患部隣接部の発汗量を測定した後, リドカイン1.5mg/kgを静脈内投与した. 投与5分後, 同部の発汗量を測定し投与前後の値および疼痛変化を比較した. 発汗は深呼吸によって誘発し, 2分間の...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 5; no. 3; p. 333
Main Authors 松田富雄, 中村勝彦, 白塚秀之, 松田知之, 有山 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1998
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Summary:リドカインの静脈内投与が末梢交感神経活動に及ぼす影響を, 神経性発汗量を測定することによって検討した. 健康成人では有意な変化がないことを既に報告した. 今回, neuropathic pain患者を対象に同様の検討をした. 【対象・方法】四肢のneuropathic pain患者10例を対象とした(帯状疱疹後神経痛3例, CRPS6例, 糖尿病性神経障害1例. 62±15.6歳). 仰臥位にて患部または患部隣接部の発汗量を測定した後, リドカイン1.5mg/kgを静脈内投与した. 投与5分後, 同部の発汗量を測定し投与前後の値および疼痛変化を比較した. 発汗は深呼吸によって誘発し, 2分間の発汗量を局所発汗量連続記録装置(スズケン社製Kenz-Perspiro OSS-100)を用いて計測した. 【結果】8例において, リドカイン投与によって発汗量は0.20±0.13mg/2minから0.05±0.04mg/2minと有意に低下し(p<0.01), うち6例に有意な疼痛軽減を認めた. 2例は発汗量, および疼痛の有意な変化を認めなかった. 【結論】本結果はneuropathic painにおいてC線維の損傷発火が明らかに存在する症例では, リドカインは末梢交感神経活動を抑制するが, 疼痛治療の点では必ずしも交感神経ブロックが適応とならないことを客観的に示めすものである. また, リドカインチャレンジテストにおける神経性発汗量測定は有用な検査法の1つである.
ISSN:1340-4903