甲状腺癌局所再発による前頭部痛に対してC3神経根ブロックが有効であった1症例

前頭部に激痛を訴えた頸部悪性腫瘍の症例に対してC3神経根ブロックが有効であったので報告する. 【症例】67歳, 男性. 甲状腺癌のため甲状腺左葉切除, さらに局所再発のため頸部リンパ節切除, 放射線治療が施行された. その頃より咽頭痛が出現, 少し遅れて左前頭部にも疼痛が出現し当科を紹介された. 初診時, 左頸部に持続的な鈍痛および左前頭部に間欠的な激痛を訴えていた. また左頸部にdysesthesiaがみられた. 頭頸部CTでは左頸部(第3頸椎レベル)に腫瘍が認められたが三叉神経などその他には異常はみられなかった. C7-Th1間から硬膜外カテーテルを挿入して, モルヒネの持続注入および随時...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 5; no. 3; p. 323
Main Authors 安藤 泰, 安部 桂, 宮本友美, 安藤 郁, 渡辺敏光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1998
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Summary:前頭部に激痛を訴えた頸部悪性腫瘍の症例に対してC3神経根ブロックが有効であったので報告する. 【症例】67歳, 男性. 甲状腺癌のため甲状腺左葉切除, さらに局所再発のため頸部リンパ節切除, 放射線治療が施行された. その頃より咽頭痛が出現, 少し遅れて左前頭部にも疼痛が出現し当科を紹介された. 初診時, 左頸部に持続的な鈍痛および左前頭部に間欠的な激痛を訴えていた. また左頸部にdysesthesiaがみられた. 頭頸部CTでは左頸部(第3頸椎レベル)に腫瘍が認められたが三叉神経などその他には異常はみられなかった. C7-Th1間から硬膜外カテーテルを挿入して, モルヒネの持続注入および随時0.25%ブピバカイン5mlのone shot注入を開始した. モルヒネの全身投与や硬膜外注入は左頸部の鈍痛には有効であったが, 左前頭部の激痛にはほとんど無効であった. そして左前頭部痛には局麻薬のone shot注入のみ有効であった. また局麻薬を用いたC3神経根ブロックが有効であったため, C3神経根熱凝固を予定した. この頃には左前頭部の激痛は持続的となっており局麻薬のone shot注入は一日に15~20回要した. C3神経根熱凝固施行後, 疼痛は軽減し硬膜外カテーテルを抜去してモルヒネの持続静注のみで疼痛コントロールが可能となった. 【結論】本症例の前頭部痛は第3頸神経領域から発した疼痛刺激が, GOTSと似たような機序で三叉神経第1枝領域に関連痛として現れたものと考えられる.
ISSN:1340-4903