胸腔鏡下交感神経遮断術中の心機能の変化

近年手掌多汗症に対して胸腔鏡下交感神経遮断術が行われるようになり良好な手術成績を得ている. しかし手術中に体位, 麻酔, 手術手技により血行動態に変化をもたらす. 今回我々は本術中に経食道心エコーを用い炭酸ガス注入により術野を確保する方法(気胸群)と分離肺換気により術野を確保する方法(非気胸群)に対して心機能の変化を観察したので報告する. 対象と方法)心機能に異常を認めない手掌多汗症患者各群10名を対象とした. 経食道心エコーの測定は手術前半坐位, 右側気胸もしくは虚脱後, 右側交感神経焼灼後, 左側気胸もしくは虚脱後, 左側交感神経焼灼後, 手術後半坐位の6点とした. 測定項目は, 心拍数,...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 5; no. 3; p. 319
Main Authors 一万田正彦, 池辺晴美, 伊東浩司, 山本一嗣, 平川紫織, 野口隆之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1998
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Summary:近年手掌多汗症に対して胸腔鏡下交感神経遮断術が行われるようになり良好な手術成績を得ている. しかし手術中に体位, 麻酔, 手術手技により血行動態に変化をもたらす. 今回我々は本術中に経食道心エコーを用い炭酸ガス注入により術野を確保する方法(気胸群)と分離肺換気により術野を確保する方法(非気胸群)に対して心機能の変化を観察したので報告する. 対象と方法)心機能に異常を認めない手掌多汗症患者各群10名を対象とした. 経食道心エコーの測定は手術前半坐位, 右側気胸もしくは虚脱後, 右側交感神経焼灼後, 左側気胸もしくは虚脱後, 左側交感神経焼灼後, 手術後半坐位の6点とした. 測定項目は, 心拍数, 血圧, 心拍出量, 1回拍出量, 左室駆出率, A/E比とした. 結果)両群とも手術前半坐位時に血圧低下を認めたが心機能は問題なかった. 気胸群では炭酸ガスを注入すると心臓が対側へ圧排され血圧は更に低下し, 心エコー上左室の収縮能は変わらなかったが, 拡張能が低下する傾向にあった. 非気胸群では心機能の大きな変化は認めなかった. 結語)心機能が正常な患者でも気胸時に心臓にかかる負担は大きく注意が必要である.
ISSN:1340-4903