夏型季節性感情障害に関連した非定型顔面痛の一症例

5年間にわたり夏に繰り返される非定型顔面痛症例の治療を経験した. 季節性感情障害(SAD)の診断基準は満たさず, 目立った気分障害の症状も認めなかった. しかし, 1:気質的な異常がない, 2:明らかな季節性, 3:イミプラミンテストに反応した, ことよりSADに関連した疼痛と判断し, アミトリプチリンを内服させたところ著効した. 翌年には, アミトリプチリンの予防的服用により疼痛は起こらなかった. 身体症状を主体とする気分障害が存在するように, 一部のSADでは多様な身体化によりSPAQを用いた診断方法では適切に診断されないことが示された. 明らかな季節性が存在する原因不明の疼痛に対しては,...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 5; no. 3; p. 293
Main Authors 大塚浩司, 沼澤理絵, 橋本総一, 劔物 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1998
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Summary:5年間にわたり夏に繰り返される非定型顔面痛症例の治療を経験した. 季節性感情障害(SAD)の診断基準は満たさず, 目立った気分障害の症状も認めなかった. しかし, 1:気質的な異常がない, 2:明らかな季節性, 3:イミプラミンテストに反応した, ことよりSADに関連した疼痛と判断し, アミトリプチリンを内服させたところ著効した. 翌年には, アミトリプチリンの予防的服用により疼痛は起こらなかった. 身体症状を主体とする気分障害が存在するように, 一部のSADでは多様な身体化によりSPAQを用いた診断方法では適切に診断されないことが示された. 明らかな季節性が存在する原因不明の疼痛に対しては, 気分障害の症状が認められなくても抗鬱薬による治療を考慮すべきである. その適否の判断にはイミプラミンテストを含めた薬理学的疼痛機序判別試験が有用である.
ISSN:1340-4903