曲の電極針を用いた高周波熱凝固術による半月神経節ブロックが有効であった症候性三叉神経痛の1例

悪性腫瘍による三叉神経痛に対し先端が彎曲した電極針を用いた高周波熱凝固により良好な結果を得た. 患者は50歳, 男性. 右上顎線維肉腫で1995年7月から1996年7月までに眼窩内容, 前頭蓋底を含む腫瘍切除および再建が9回行なわれた. 11月より腫瘍再発により右顔面痛が出現した. 右三叉神経領域は強い知覚低下があったが, 卵円孔の破壊はなかった. 1997年1月8日に高周波熱凝固を施行した. 局所麻酔下に卵円孔を穿刺し, 先端が彎曲した電極針を挿入した. 針を回転させ電気刺激し2枝, 3枝に放散痛が出現するところで熱凝固を広範囲に行なった. これで知覚はより低下し, 自発痛も消失した. 熱凝...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 4; no. 4; p. 501
Main Authors 湖城 均, 井上裕昭, 木村重雄, 長櫓 巧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1997
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Summary:悪性腫瘍による三叉神経痛に対し先端が彎曲した電極針を用いた高周波熱凝固により良好な結果を得た. 患者は50歳, 男性. 右上顎線維肉腫で1995年7月から1996年7月までに眼窩内容, 前頭蓋底を含む腫瘍切除および再建が9回行なわれた. 11月より腫瘍再発により右顔面痛が出現した. 右三叉神経領域は強い知覚低下があったが, 卵円孔の破壊はなかった. 1997年1月8日に高周波熱凝固を施行した. 局所麻酔下に卵円孔を穿刺し, 先端が彎曲した電極針を挿入した. 針を回転させ電気刺激し2枝, 3枝に放散痛が出現するところで熱凝固を広範囲に行なった. これで知覚はより低下し, 自発痛も消失した. 熱凝固法では, 針の先端のみに凝固巣が形成されるが, 先端が彎曲した針を回転させると針先の誘導と広範囲な凝固巣の作成が容易に可能となる. 腫瘍や手術による変形や三叉神経領域の知覚低下が生じている場合にも, この方法で目的の領域を広範囲に遮断でき, 良好な鎮痛効果が期待できる.
ISSN:1340-4903