術後顔面痛症例の検討
歯科治療, 口腔内・副鼻腔手術後に痛みが遷延し難治性となる例が稀ではなく存在する. 今回, 過去3年間に当科を受診したこのような症例について調査分析したので報告する. 対象は1993年6月から1996年5月まで, 歯科治療, 口腔内・副鼻腔手術後に出現した痛みで当科を受診した14例(男性4例, 女性10例)で, 平均年齢は48.4歳. 痛みが出現し当科受診までの平均期間は4年2カ月. 初診時の平均VAS(n=14)は8.2であった. 痛みの原因は, 抜歯など歯科治療によるもの8例, 口腔外科手術後3例, 副鼻腔手術後3例であった. 症例によりフェントラミン, サイアミラール, リドカイン, ケ...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 4; no. 3; p. 214 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ペインクリニック学会
1997
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-4903 |
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Summary: | 歯科治療, 口腔内・副鼻腔手術後に痛みが遷延し難治性となる例が稀ではなく存在する. 今回, 過去3年間に当科を受診したこのような症例について調査分析したので報告する. 対象は1993年6月から1996年5月まで, 歯科治療, 口腔内・副鼻腔手術後に出現した痛みで当科を受診した14例(男性4例, 女性10例)で, 平均年齢は48.4歳. 痛みが出現し当科受診までの平均期間は4年2カ月. 初診時の平均VAS(n=14)は8.2であった. 痛みの原因は, 抜歯など歯科治療によるもの8例, 口腔外科手術後3例, 副鼻腔手術後3例であった. 症例によりフェントラミン, サイアミラール, リドカイン, ケタミンなどの薬理学的疼痛機序判別テストを施行した. 治療法は, 薬物療法, 神経ブロック療法, ケタミン持続点滴療法などでこれらいくつかの併用を行った. 治療効果の判定は10段階VASで1以下に低下した例を著効, 初診時のVASの1/2以下に低下した例を有効, VASの低下が当初の1/2以下にとどまった例を不良, VASが不変あるいは上昇した例を無効とした. 対象14例のうち途中で来院しなくなった追跡不能例は7例と半数を数えた. 現在治療中の患者7例の治療効果の結果は, 有効が3例, 一方不良1例, 無効3例と効果がほとんど認められなかった症例は4例であった. また, 現在治療中の患者の平均VAS(n=7)は6であり, これらの症例は難治性を示す傾向が示唆された. またこれらの中には, 疼痛顕示行動, ドクターショッピングなどの問題行動を示す例もあり, 通常の神経ブロック, 薬物療法に加え, 患者の性格, 生活歴, 心理的要因も考慮すべきと考える. これらの症例を分析した結果も合わせて報告したい. |
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ISSN: | 1340-4903 |