漸増する経皮電気刺激装置による疼痛刺激に対する抑制系作用の評価の試み(第2報)

中枢神経(含脊髄)における疼痛刺激に対する抑制系の作用の程度を臨床の場で簡便に評価できる方法は確立されていない. そこで, 漸増する疼痛刺激(電気刺激)を行い, 疼痛刺激の最も強く感じられる刺激と終わりの刺激の程度が等しく感じられる電気刺激の漸増の程度(例えば, 1発めの刺激の強さを100とし6発めの刺激を120とした時1発めの刺激と6発めの刺激が等しく感じられた, この時増加率は20%)を測定することにより抑制系の作用の程度を推測できるのではないかと考え研究を行っている. 今回は急性疼痛患者を対象として, 有痛時と無痛(治癒)時の比較, 有痛部位と無痛部位の比較等を行ったので報告する. 電気...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 4; no. 3; p. 198
Main Authors 堀 真也, 川村和徳, 上田敬一郎, 広沢寿一, 久場良也, 藤井 昭, 佐藤 暢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1997
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ISSN1340-4903

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Summary:中枢神経(含脊髄)における疼痛刺激に対する抑制系の作用の程度を臨床の場で簡便に評価できる方法は確立されていない. そこで, 漸増する疼痛刺激(電気刺激)を行い, 疼痛刺激の最も強く感じられる刺激と終わりの刺激の程度が等しく感じられる電気刺激の漸増の程度(例えば, 1発めの刺激の強さを100とし6発めの刺激を120とした時1発めの刺激と6発めの刺激が等しく感じられた, この時増加率は20%)を測定することにより抑制系の作用の程度を推測できるのではないかと考え研究を行っている. 今回は急性疼痛患者を対象として, 有痛時と無痛(治癒)時の比較, 有痛部位と無痛部位の比較等を行ったので報告する. 電気刺激装置 仕様はパルス数:1~100, パルス周期(パルスとパルスの間隔):0.1~10秒, デユーテイ:0~100%, 出力電圧:2~50V, 繰り返し回数:1~20回, インターバル:2~5秒, 増減値:0~50%で, ノート型パソコンで制御する. 実験方法 今回も前回の報告と同じくパルス数6, パルス周期2秒, デユーテイ20%, 出力電圧2~10V, 繰り返し回数10回, インターバル5秒, 増減値は繰り返しの度に3または5%増加の設定で, 帯状疱疹等の急性疼痛患者6名にてのべ22回の測定を行いデータを収集した. 刺激電極は使い捨て鍼灸針と心電図用電極を用いた. 6発の電気刺激を行い6発目の刺激がそれまでに一番強く感じられた刺激と同等に感じられた時の電圧の開始電圧(1発目のパルス)に対する増加率(以下漸増率)を記録した. 刺激部位は両前腕および両下腿とし, それぞれの部位で5回ずつデータを取り, その中央値で表わした. 結果 同一患者で有痛部に最も近い部位で, 有痛時(VAS>30mm)と無痛時(VAS<30mm)で比較すると, 漸増率は有痛時には平均0.3±0.9%であったが無痛時には10.4±6.5%と有意に上昇した. 有痛時には上下肢共に低値となったが, 有痛部と最も離れた部位での漸増率は有意に高かった. 有痛部位に最も近い部位とその対肢(上肢に対して下肢, 下肢に対して上肢)の漸増率に有意な相関がみられた.
ISSN:1340-4903