婦人科手術における硬膜外モルヒネ単回注入の術後鎮痛効果

婦人科手術を施行された240例を対象として, 硬膜外モルヒネ単回注入の術後鎮痛効果を検討した. C群(筋注群=60例)ではGOIで術中麻酔管理を行った. ECB群(硬膜外持続ブプレノルフィン群=60群)では麻酔導入前にT12-L1間に留置した硬膜外カテーテルより, 閉腹時に1%メピバカイン5~7mlとブプレノルフィン3μg/mlを注入, 術後は1%メピバカイン, ブプレノルフィン, ドロペリドールの混合液を1.5ml/hrで24hr持続注入した. EOM(2)群(硬膜外モルヒネ単回注入2mg群=60例)では麻酔導入前にT12-L1間より0.375-0.5%ブピバカイン8~10ml, 塩酸モルヒ...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 2; no. 2; p. 292
Main Authors 新倉久美子, 鬼頭 剛, 大房幸浩, 中川力丸, 水野啓之, 小林幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1995
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Summary:婦人科手術を施行された240例を対象として, 硬膜外モルヒネ単回注入の術後鎮痛効果を検討した. C群(筋注群=60例)ではGOIで術中麻酔管理を行った. ECB群(硬膜外持続ブプレノルフィン群=60群)では麻酔導入前にT12-L1間に留置した硬膜外カテーテルより, 閉腹時に1%メピバカイン5~7mlとブプレノルフィン3μg/mlを注入, 術後は1%メピバカイン, ブプレノルフィン, ドロペリドールの混合液を1.5ml/hrで24hr持続注入した. EOM(2)群(硬膜外モルヒネ単回注入2mg群=60例)では麻酔導入前にT12-L1間より0.375-0.5%ブピバカイン8~10ml, 塩酸モルヒネ2mg, ドロペリドール1.25mgを硬膜外単回注入し, 以後はC群同様に麻酔管理を行った. EOM(3)群(硬膜外モルヒネ単回注入3mg群=60例)では塩酸モルヒネ3mgでEOM(2)群と同様に行った. 各群とも術後患者の訴えに応じて, ブプレノルフィンの筋注を行った. 各群につき(1)術後48時間までのペインスコアと鎮痛薬使用頻度, (2)鎮痛薬使用による副作用, (3)術後合併症の発生頻度, (4)術後坐位, 歩行, 排ガスまでの日数, について調査した. [結果] 年齢・体重・手術時間・出血量・術前リスクは各群間で有意差がなかった. 術後2時間のペインスコアはECB群で51例, EOM(2)群で58例, EOM(3)群で57例が1以下であったのに対し, C群では50例が2以上で有意差が認められた. 術後12時間ではECB群で54例, EOM(2)群で32例, EOM(3)群で44例が1以下であった. 術後24時間ではECB群が他の3群に対して1以下の割合が有意に高かった. 24時間以降は各群で有意差はなかった. 副作用は悪心・嘔吐がC群で36例, ECB群で10例, EOM(2)群で15例, EOM(3)群で23例みられた. 血圧低下はC群以外の3群でみられ, 有意差はなかった. 坐位・歩行・排ガスまでの日数は各群間で有意差はなかった. [結語] 術後鎮痛では硬膜外持続注入法が優れているが, 単回注入法も簡便で有用な方法であると思われる. 塩酸モルヒネは3mgの方が2mgより鎮痛効果は強いが悪心・嘔吐は多くみられた.
ISSN:1340-4903