治療経過中に悪性疾患が判明した4症例

難治性疼痛として紹介されたが検索の結果, 悪性疾患が判明した4症例を経験したので報告する. 〔症例1〕63歳, 男性, 62歳時に悪性血管内皮細胞腫(頭部)捕出. 3ヶ月前より右坐骨神経痛が出現し, 整形外科にて治療を行なうも効果なく, 当科受診, 翌日入院となった. 入院時の肋部X線で, 左肺に気肋と胸水の貯留を認め肺転移が発見された, 1ヶ月後全身状態悪化により死亡した. 〔症例2〕45歳, 男性, 10ヶ月前に右開胸開腹食道亜全摘施行, 3ヶ月前より開肋部に一致した鈍痛が増強, 術後カウザルギー疑いにて当科紹介となった. 硬膜外ブロック施行後反対側に疼痛が出現したため, 転移を疑い胸椎の...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 2; no. 2; p. 234
Main Authors 前田成夫, 村川和重, 野間研一, 松田真也, 太城力良, 石田克浩, 和泉良平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1995
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Summary:難治性疼痛として紹介されたが検索の結果, 悪性疾患が判明した4症例を経験したので報告する. 〔症例1〕63歳, 男性, 62歳時に悪性血管内皮細胞腫(頭部)捕出. 3ヶ月前より右坐骨神経痛が出現し, 整形外科にて治療を行なうも効果なく, 当科受診, 翌日入院となった. 入院時の肋部X線で, 左肺に気肋と胸水の貯留を認め肺転移が発見された, 1ヶ月後全身状態悪化により死亡した. 〔症例2〕45歳, 男性, 10ヶ月前に右開胸開腹食道亜全摘施行, 3ヶ月前より開肋部に一致した鈍痛が増強, 術後カウザルギー疑いにて当科紹介となった. 硬膜外ブロック施行後反対側に疼痛が出現したため, 転移を疑い胸椎のX線撮影施行, Th6~8の椎体の骨破壊像を認めた, 骨シンチにて転移が確認され, 現在, 化学療法と放射線療法を行なっている. 〔症例3〕51歳, 男性, 半年前より腰痛出現し他院にて加療されるが効果無く, 当科紹介受診となった. 硬膜外ブロックの効果が不良であった為, 腰椎の変形を疑い, 腰椎X線撮影施行, L1, 2の骨融解像を認め, 更に骨シンチにてL1, 2に異常集積像を認めた為, Gaシンチが予定されたが, 1週間後自宅にて突然死した. 〔症例4〕81歳, 男性, 震災後の水運びにて腰痛出現, 他院受診するも軽快せず, 1ヶ月後, 当科紹介受診となった. 来院時腰部の著明な筋緊張に加え, 上殿神経部にも圧痛を認め腰椎X線撮影施行したところ, L4椎体の融解像, さらにGaシンチにてL4と右肺門部に異常集積像を認め現在内科にコンサルトすると共にブプレノルフィンの硬膜外注入を週2回行ない疼痛のコントロールは良好である. 症例1:疼痛部位と転移巣とは全く無関係である. 症例2:骨転移による疼痛部位と開胸後カウザルギーが一致していた為, 発見が遅れた. 症例3, 4:悪性疾患を疑わせるエピソードは皆無であった以上, 紹介患者の場合すでに診断のついている場合が多く, 初期診断の重要性が置き去りにされがちであるが様々な可能性を検討する事の重要性を再認識した.
ISSN:1340-4903