帯状疱疹後神経痛と同部位に発症した転移性骨腫瘍による腰椎神経根症の一例

【症例】73歳, 男性. 【主訴】咳, 歩行で増強する左大腿前面のズキズキする痛み 【既往歴】15歳時：右腎破裂にて摘出術. 60歳時：十二指腸潰瘍にて胃切. 68才時：帯状疱疹, 左大腿前面に皮疹出現 【経過・治療】 平成6年5月6日から左L2領域の痛みがあり, 近医受診し坐薬と漢方薬を処方された. 歩行時の痛みもあり同医で神経ブロックを勧められ当科を受診した. 初診時, L2, 3左の傍脊柱筋に圧痛を認め, 大腿前面で左膝上部の自発痛があり, 4年前の帯状疱疹後神経痛と同部位であると訴えた. 両下肢で知覚低下, 左右差はないものの左大腿四頭筋の筋力低下を認めた. 腰椎X線写真を撮影したが骨...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 2; no. 2; p. 215
Main Authors 其田 一, 関 純彦, 並木昭義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 1995
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Summary:【症例】73歳, 男性. 【主訴】咳, 歩行で増強する左大腿前面のズキズキする痛み 【既往歴】15歳時：右腎破裂にて摘出術. 60歳時：十二指腸潰瘍にて胃切. 68才時：帯状疱疹, 左大腿前面に皮疹出現 【経過・治療】 平成6年5月6日から左L2領域の痛みがあり, 近医受診し坐薬と漢方薬を処方された. 歩行時の痛みもあり同医で神経ブロックを勧められ当科を受診した. 初診時, L2, 3左の傍脊柱筋に圧痛を認め, 大腿前面で左膝上部の自発痛があり, 4年前の帯状疱疹後神経痛と同部位であると訴えた. 両下肢で知覚低下, 左右差はないものの左大腿四頭筋の筋力低下を認めた. 腰椎X線写真を撮影したが骨破壊像や腰椎症を思わせる所見はなかった. 歩行困難を訴えたため, 即日入院とし持続硬膜外ブロックを開始した. 硬膜外ブロック開始後も疼痛が続き, CT, 硬膜外造影, 神経根ブロック等を施行したが器質的疾患は見つからず, 疼痛も改善しなかったため悪性腫瘍を考慮した検索を開始した. MRIにてL3椎体の腫瘍性変化とL2神経根の腫瘍による圧迫が認められた. また, CEA, CA19-9の上昇が見られ転移性の骨腫瘍と思われた. その後の検索で肺癌の骨転移と分かり, 整形外科に転科し脊髄除圧術を施行した.
ISSN:1340-4903