冠動脈の興奮伝播性に及ぼす外液カルシウムおよびDiltiazemの影響

異型狭心症においては冠動脈スパズムが周期的に繰り返し出現する傾向がある. 冠動脈の周期性収縮は摘出したヒト冠動脈でもしばしば観察される. こうした現象が生じるためには一定量の冠動脈平滑筋がペースメーカーよりの刺激に反応し協調して収縮することが必須と考えられる. すなわち, 平滑筋細胞間の速やかな興奮伝播性が冠動脈の周期的収縮の発現に必要である. 本研究では冠動脈の興奮伝播性に対する外液カルシウムおよびカルシウム拮抗薬, diltiazemの効果を検討した. 方法 実験には摘出ブタ冠動脈を用いた. 摘出した約2cmの長さの左冠動脈回旋枝近位部を長軸方向に切り開いて長方形の条片とし, organ...

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Published in薬理と治療 Vol. 15; no. suppl-3; pp. 607 - 608
Main Authors 荒木春夫, 境野成次, 古庄伸行, 西勝英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published ライフサイエンス出版 1987
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Summary:異型狭心症においては冠動脈スパズムが周期的に繰り返し出現する傾向がある. 冠動脈の周期性収縮は摘出したヒト冠動脈でもしばしば観察される. こうした現象が生じるためには一定量の冠動脈平滑筋がペースメーカーよりの刺激に反応し協調して収縮することが必須と考えられる. すなわち, 平滑筋細胞間の速やかな興奮伝播性が冠動脈の周期的収縮の発現に必要である. 本研究では冠動脈の興奮伝播性に対する外液カルシウムおよびカルシウム拮抗薬, diltiazemの効果を検討した. 方法 実験には摘出ブタ冠動脈を用いた. 摘出した約2cmの長さの左冠動脈回旋枝近位部を長軸方向に切り開いて長方形の条片とし, organ bath中にて輪状筋方向の発生張力を両断端と中間部の3ヵ所同時に測定した. また, それぞれの張力測定部位に吸引電極を装着し電気刺激および細胞外電位の測定に用いた. テトラエチルアンモニウム(TEA)10mM存在下に単発の電気刺激を加えて冠動脈局所の収縮とその長軸方向への伝播を再現性良く誘発できた. また, 収縮の伝播に0.1-0.2秒先行するスパイク様電位の伝播が確認された. 結果 外液カルシウム濃度が1.8mMのとき, 収縮興奮の伝播速度は13.2±3.1mm/秒(n=7)であった. 外液のカルシウム濃度を減少させると収縮力の減弱とともに興奮の伝播速度も遅くなった.
ISSN:0386-3603