肝細胞癌に対する第一選択肢の治療法は, マイクロ波凝固壊死療法(MCN)それとも肝切除?

「緒言」肝細胞癌(以下HCC)に対するゴールデンスタンダードの治療法は, 昔も今も常に肝切除であると頑固なほどに信じられてきた. しかし, 大部分のHCCは背景に肝硬変を併存しているため肝予備力は少なからず低下しているのが現状であり, そのため肝切除を適応できるHCCは極めて少ない. そこで, このようなHCCの根治と肝機能の温存というジレンマのなかから考案され普及してきたのが, エタノール注入療法(以下PEIT)やマイクロ波凝固壊死療法(以下MCN), 更に最近急速な普及をみせているラジオ波焼却療法(以下RFA)などの肝癌の局所治療法である. これら肝癌局所療法の治療機器が進歩し, またその...

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Published inJournal of Microwave Surgery Vol. 23; pp. 35 - 39
Main Authors 高見裕子, 才津秀樹, 佐島秀一, 福泉公仁隆, 酒井浩徳, 安森弘太郎, 村中光, 中島収, 朔元則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published メディカルレビュー社 2005
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ISSN0917-7728

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Summary:「緒言」肝細胞癌(以下HCC)に対するゴールデンスタンダードの治療法は, 昔も今も常に肝切除であると頑固なほどに信じられてきた. しかし, 大部分のHCCは背景に肝硬変を併存しているため肝予備力は少なからず低下しているのが現状であり, そのため肝切除を適応できるHCCは極めて少ない. そこで, このようなHCCの根治と肝機能の温存というジレンマのなかから考案され普及してきたのが, エタノール注入療法(以下PEIT)やマイクロ波凝固壊死療法(以下MCN), 更に最近急速な普及をみせているラジオ波焼却療法(以下RFA)などの肝癌の局所治療法である. これら肝癌局所療法の治療機器が進歩し, またその技術が向上するにつれて, 最近ではこれらの局所療法, 特にRFAが肝切除に取って代わる勢いで普及している. しかし, その妥当性については両者を比較する報告が極めて少なく, いまだに議論の余地が多く残るところでもある. そこで今回我々は, 当施設開院以来10年にわたって肝切除とともに施行してきたMCNの治療成績を検討し, はたしてHCCに対する第一選択肢の治療法としてふさわしいのはやはり肝切除なのか, それともMCNであるのかを検討したので報告する.
ISSN:0917-7728