右心室ペーシング誘発性心筋症による心不全に対するHis束ぺーシングの1例

《Abstract》症例は78歳女性. 20XX年12月に完全房室ブロックに対してDDDペースメーカ植込みを実施した. この際, 心室ペーシング率は100%であった. 20XX+3年から軽労作での息切れを自覚するようになった. 同年5月は胸部X線上, 肺うっ血所見を認め, NT-proBNPも5601pg/mLと上昇していた. 心室ペーシングのQRS幅は178msec, 左室駆出率は24%と低下していた. 冠動脈病変はなく, 右室ペーシング誘発性心筋症と診断した. 内服強化にも効果は乏しく, 7月中旬にHis束リードの追加を行った. His束ペーシングを得ることに成功し非選択的His束ペーシン...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 5; pp. 503 - 509
Main Authors 福嶋理知, 末永英隆, 谷真太朗, 鍬先重輝, 武藤成紀, 古殿真之介, 布廣龍也, 竹下聡, 中嶋寛, 前村浩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.05.2020
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Summary:《Abstract》症例は78歳女性. 20XX年12月に完全房室ブロックに対してDDDペースメーカ植込みを実施した. この際, 心室ペーシング率は100%であった. 20XX+3年から軽労作での息切れを自覚するようになった. 同年5月は胸部X線上, 肺うっ血所見を認め, NT-proBNPも5601pg/mLと上昇していた. 心室ペーシングのQRS幅は178msec, 左室駆出率は24%と低下していた. 冠動脈病変はなく, 右室ペーシング誘発性心筋症と診断した. 内服強化にも効果は乏しく, 7月中旬にHis束リードの追加を行った. His束ペーシングを得ることに成功し非選択的His束ペーシングでQRS幅は132msecと改善した. 植込み後4カ月で自覚症状は改善しNT-proBNP 243pg/mL, エコー上の左室駆出率は35%まで改善した. 今回, 右室ペーシングによる心機能低下症例に対し, His束リードを追加することで良好な経過をたどった1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488