1 心原性ショックの重症度分類 : SCAI expert consensusを受けて

「はじめに」昨年, 米国心血管インターベンション学会 (SCAI) の専門家らによるconsensus statementとして心原性ショックの重症度分類が発表された. 心原性ショックの患者は多種多様な病態を有しており, 予後も個々の症例で大きく異なっている. 近年, 補助循環治療はめざましい進歩を遂げているが, 特に急性心筋梗塞による心原性ショックの予後は30日死亡率40-50%とされ, この20年間で改善が得られていない. このことからも, 我々は適切な治療を適切なタイミングで患者に届けることの重要性を改めて認識するべきである. 一方, 臨床研究では, 心原性ショックの患者の病態に沿った適...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 5; pp. 462 - 467
Main Authors 中村研介, 山本一博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.05.2020
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Summary:「はじめに」昨年, 米国心血管インターベンション学会 (SCAI) の専門家らによるconsensus statementとして心原性ショックの重症度分類が発表された. 心原性ショックの患者は多種多様な病態を有しており, 予後も個々の症例で大きく異なっている. 近年, 補助循環治療はめざましい進歩を遂げているが, 特に急性心筋梗塞による心原性ショックの予後は30日死亡率40-50%とされ, この20年間で改善が得られていない. このことからも, 我々は適切な治療を適切なタイミングで患者に届けることの重要性を改めて認識するべきである. 一方, 臨床研究では, 心原性ショックの患者の病態に沿った適切な層別化は, 治療効果の検討や予後予測を行ううえで大変有用である. 心原性ショックの患者の予後を改善するために, 多施設でともに研鑽しエビデンスを積み上げていくうえでも, 心原性ショックの適切な重症度分類に基づいた議論が必要である.
ISSN:0586-4488