B-8 慢性肺塞栓症に対して肺動脈血栓内膜摘除を施行した患者における下肢静脈病変の検討

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の発症機序は不明で, 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)の既往が約半数にしかないことから, small vessel diseaseやin situ thrombosisの関与も議論されている. 肺動脈血栓内膜摘除術(pulmonary endarterectomy:PEA)を施行した症例の下肢静脈病変とCTEPH手術分類について検討した. 「対象と方法」PEAを施行した17例を対象とした. 下肢静脈エコー所見(US), air pl...

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Published in心臓 Vol. 48; no. 7; p. 860
Main Authors 小林由幸, 孟真, 橋山直樹, 沖山誠, 阿賀健一郎, 菅原海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.07.2016
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Summary:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の発症機序は不明で, 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)の既往が約半数にしかないことから, small vessel diseaseやin situ thrombosisの関与も議論されている. 肺動脈血栓内膜摘除術(pulmonary endarterectomy:PEA)を施行した症例の下肢静脈病変とCTEPH手術分類について検討した. 「対象と方法」PEAを施行した17例を対象とした. 下肢静脈エコー所見(US), air plethys-mography(APG)所見, 肺動脈閉塞形態所見であるJamieson分類について解析した. 「結果」年齢(中央値)59歳, 男性7名, 女性10名, 急性肺塞栓症の既往は2例(12%)のみにあり, DVTの既往は7例(41%)にあった. PEA術前のUSでは9例(53%)にDVTを認めた(近位型6例, 下腿型3例). DVTの既往歴患者7例中3例ではDVTを指摘できなかったが, DVTの既往歴がない患者10名では5例でDVTを認めた. CTEP 17例中, 計12例(71%)にUSでのDVTあるいは既往歴があった. 2例に伏在型静脈瘤を認めた. APGは9例中8例で逆流の指標であるvenous filling index(VFI)が高値を示した. Jamieson分類とDVTの関連は, I型:11例(近位型DVT6例/下腿型DVT3例/DVTなし2例), II型:5例(下腿型DVT2例/DVTなし3例), III型:1例(近位型DVT1例)であった. 「結語」CTEPH患者でUSを検討すると, 高い頻度でDVTが合併していた. 近位型DVT7例のうち, 6例(86%)がJamieson分類1型に該当し, 近位型DVTと中枢型CTEPHとの関連が示唆された.
ISSN:0586-4488