P-02 心筋生検にて診断し適切に治療し得た好酸球性心筋炎の1例

急性心筋炎は症状や病状の程度が多彩であり, しばしば診断に難渋するため常に鑑別に挙げながら診療する必要がある. 症例は特に既往のない20歳, 男性. 入院5日前から軽度の胸部違和感を自覚があり, 入院前日の夕食後より腹痛, 水様便が出現し就寝後も症状が軽快せず翌早朝に救急要請し当院受診となった. 来院時上腹部の軽度の腹膜刺激症状と肝胆道系酵素の高値ならびにCT上肝腫大, 胆嚢壁肥厚および肝周囲の腹水を認めたことより急性肝炎あるいは胆嚢炎を疑われ緊急入院となった. 入院直後より血行動態が急速に不安定化し, 心エコー施行したところ心嚢液貯留・左室壁浮腫性変化著明であり, また心筋逸脱酵素の上昇もあ...

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Published in心臓 Vol. 42; no. 10; p. 1372
Main Authors 田守唯一, 廣江道昭, 柴田純子, 門脇拓, 山崎智弘, 上村宗弘, 副島洋行, 田中由利子, 岡崎修, 樫田光夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2010
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Summary:急性心筋炎は症状や病状の程度が多彩であり, しばしば診断に難渋するため常に鑑別に挙げながら診療する必要がある. 症例は特に既往のない20歳, 男性. 入院5日前から軽度の胸部違和感を自覚があり, 入院前日の夕食後より腹痛, 水様便が出現し就寝後も症状が軽快せず翌早朝に救急要請し当院受診となった. 来院時上腹部の軽度の腹膜刺激症状と肝胆道系酵素の高値ならびにCT上肝腫大, 胆嚢壁肥厚および肝周囲の腹水を認めたことより急性肝炎あるいは胆嚢炎を疑われ緊急入院となった. 入院直後より血行動態が急速に不安定化し, 心エコー施行したところ心嚢液貯留・左室壁浮腫性変化著明であり, また心筋逸脱酵素の上昇もあり急性心筋炎と診断し集中治療を開始した. 入院第5病日から末梢血中の好酸球の上昇と一旦軽快した心筋逸脱酵素の再上昇が見られたため, 第8病日に心筋生検を行い好酸球性心筋炎と診断しプレドニゾロンの内服を8週間行い経過良好のため退院した. 上腹部痛で緊急入院後に心筋生検を行い好酸球性心筋炎と診断し, 適切に治療し得た症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488