症例 うっ血性心不全に合併した睡眠呼吸障害に対してadaptive servo ventilator(ASV)治療により洞調律化を認めた著明な左房拡大を伴った心房細動の1例

「Abstract」症例は62歳, 男性. 2型糖尿病, 高血圧症で外来通院中であったが, 2005年12月に心不全を発症. 2007年3月に持続性心房細動と心不全増悪をきたし入院. 薬物療法の強化で心不全が安定した. 持続性心房細動を呈していたが, 左房は著明に拡大していたことから電気的除細動は施行せず, rate controlを行い退院とした. しかし, 退院後もNYHA II度の心不全症状が残存, 2007年11月に就寝時に呼吸困難が出現, うっ血性心不全で再入院となった. 酸素投与および利尿薬の増量で心不全は改善を認めたが, 終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography;P...

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Published in心臓 Vol. 42; no. 10; pp. 1340 - 1346
Main Authors 粕谷秀輔, 中村啓二郎, 高橋真生, 野池博文, 東丸貴信, 白井厚治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2010
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Summary:「Abstract」症例は62歳, 男性. 2型糖尿病, 高血圧症で外来通院中であったが, 2005年12月に心不全を発症. 2007年3月に持続性心房細動と心不全増悪をきたし入院. 薬物療法の強化で心不全が安定した. 持続性心房細動を呈していたが, 左房は著明に拡大していたことから電気的除細動は施行せず, rate controlを行い退院とした. しかし, 退院後もNYHA II度の心不全症状が残存, 2007年11月に就寝時に呼吸困難が出現, うっ血性心不全で再入院となった. 酸素投与および利尿薬の増量で心不全は改善を認めたが, 終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography;PSG)でチェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration;CSR)を伴う重度の中枢性無呼吸(central sleep apnea;CSA)を認めた. 本症例の心不全増悪にCSR-CSAが関与していると判断し, adaptive servo ventilator(ASV):HEART PAP(R)による治療介入を行った. 直後より無呼吸イベントの抑制とともに心不全症状やBNP値の改善を認め, この効果は退院後も持続した. ASV導入約6カ月後に心房細動の洞調律化を認め, 経過観察を行っているが心不全による再入院と心房細動の再発を認めていない. うっ血性心不全に合併した睡眠呼吸障害の積極的治療介入の重要性と心不全合併の心房細動に対するASVの有用性が示唆された.
ISSN:0586-4488