IVUSエラストグラフィ法

「はじめに」 冠動脈疾患の治療方針を決定する際には, 冠動脈の狭窄の程度のみならず, プラークの組織性状の診断が重要である. 特に急性冠症候群の責任病変は, 線維性被膜が薄く脂質成分に富む, いわゆる不安定プラークを有しており, この不安定プラークは血管内形成術後の微小塞栓によるno-reflowやslow flowの原因となり得る. このため血管内超音波(intravascular ultrasound;IVUS)によるプラーク組織性状診断の重要性が認識されるようになった. 本稿では, IVUSを用いた冠動脈プラーク性状診断法のなかでも, 不安定プラークの脆弱性の指標として, 血圧変動により...

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Published in心臓 Vol. 40; no. 4; pp. 336 - 339
Main Authors 吉牟田剛, 植田初枝, 新田尚隆, 椎名毅, 山岸正和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2008
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Summary:「はじめに」 冠動脈疾患の治療方針を決定する際には, 冠動脈の狭窄の程度のみならず, プラークの組織性状の診断が重要である. 特に急性冠症候群の責任病変は, 線維性被膜が薄く脂質成分に富む, いわゆる不安定プラークを有しており, この不安定プラークは血管内形成術後の微小塞栓によるno-reflowやslow flowの原因となり得る. このため血管内超音波(intravascular ultrasound;IVUS)によるプラーク組織性状診断の重要性が認識されるようになった. 本稿では, IVUSを用いた冠動脈プラーク性状診断法のなかでも, 不安定プラークの脆弱性の指標として, 血圧変動により生じる冠動脈プラークの組織弾性画像法[IVUSエラストグラフィ(elastography)法]について, 自験例を含めて考察してみたい. 「IVUSエラストグラフィ法とは」 不安定プラークの破綻は, プラーク自体の組織性状に加えて, それに加わる力学的なストレスが関与していると考えられている1).
ISSN:0586-4488