徐脈性不整脈に対する細胞治療‐「バイオペースメーカ」は可能か?

細胞工学・再生医学の飛躍的な進歩により, 種々の細胞ソースから心筋(様)細胞・組織への分化・誘導が可能となった. これらの再生心筋細胞の中には, 持続的自動能を示すものや, 生体由来の心筋細胞と同期して興奮を示すものがあることが知られている. 最近, 再生心筋のこのような特性を利用し, 失われたペースメーカ機能や興奮伝導機能を補うことを目的とした, 徐脈性不整脈治療への新しいアプローチ‐「バイオペースメーカ」‐が関心を集めている. しかしながら, 生体の洞結節・房室結節などの組織は, 比較的均一な構造の作業心筋と異なり, 安定したペースメーカ機能を保持するために特徴的な構造を有していることが知...

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Published in心臓 Vol. 39; no. 11; pp. 1028 - 1031
Main Author 李鍾国
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2007
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Summary:細胞工学・再生医学の飛躍的な進歩により, 種々の細胞ソースから心筋(様)細胞・組織への分化・誘導が可能となった. これらの再生心筋細胞の中には, 持続的自動能を示すものや, 生体由来の心筋細胞と同期して興奮を示すものがあることが知られている. 最近, 再生心筋のこのような特性を利用し, 失われたペースメーカ機能や興奮伝導機能を補うことを目的とした, 徐脈性不整脈治療への新しいアプローチ‐「バイオペースメーカ」‐が関心を集めている. しかしながら, 生体の洞結節・房室結節などの組織は, 比較的均一な構造の作業心筋と異なり, 安定したペースメーカ機能を保持するために特徴的な構造を有していることが知られている. 再生心筋を用いてペースメーカ組織を構築するためには, 生体のペースメーカ組織に対する, より一層の理解が必要と思われる. 徐脈性不整脈に対する治療 徐脈性不整脈に対しては, 現在機械式ペースメーカの植え込みによる治療が主に行われている.
ISSN:0586-4488