喫煙習慣と虚血性心疾患

たばこ煙には4,000種類にも及ぶ物質が含まれており, その中には発がん物質に代表される多くの有害物質が同定されています. そのため, これまでに喫煙が健康に及ぼす影響に関して多くの疫学研究が行われてきました. 喫煙の影響を総合的に検討した最初の研究は20歳以上の英国人男性医師を対象にして1950年代から20年間の追跡が行われたコホート研究であります. この研究では毎日1箱を喫煙する場合, 虚血性心疾患による死亡率が1.57倍に増加することが示されました. アメリカでは, 虚血性心疾患危険因子の検討で有名なFramingham studyを始めとした5つの疫学研究をプールした解析がありますが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 37; no. 4; pp. 339 - 340
Main Author 篠山重威
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2005
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:たばこ煙には4,000種類にも及ぶ物質が含まれており, その中には発がん物質に代表される多くの有害物質が同定されています. そのため, これまでに喫煙が健康に及ぼす影響に関して多くの疫学研究が行われてきました. 喫煙の影響を総合的に検討した最初の研究は20歳以上の英国人男性医師を対象にして1950年代から20年間の追跡が行われたコホート研究であります. この研究では毎日1箱を喫煙する場合, 虚血性心疾患による死亡率が1.57倍に増加することが示されました. アメリカでは, 虚血性心疾患危険因子の検討で有名なFramingham studyを始めとした5つの疫学研究をプールした解析がありますが, ここでも, 1日1箱の喫煙によって冠動脈疾患に罹患する相対リスクは2.5倍に増加することが明らかにされました. そのほかの欧米コホート研究を総合すると, 1日1箱の喫煙は冠動脈疾患の罹患, 死亡に対して, 2~3倍の相対危険度を持つことになります. 女性に対してもアメリカで12万人の看護師を12年間追跡したNurses' Health studyと呼ばれる研究があり, 若い女性で1箱の喫煙が虚血性心疾患に対する罹患率を4.7倍に増加させると報告されました.
ISSN:0586-4488